2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋内部領域における3‐5度の南北スケールを持つ東西流のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
16740273
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
中野 英之 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 研究官 (60370334)
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Keywords | 海洋大循環モデル / 中規模渦 / 東西流 |
Research Abstract |
海洋内部領域における3-5度の南北スケールを持つ東西流のメカニズムを探るために、以下の研究を実施した。 海洋大循環モデルに現れた東西流の統計解析: 海洋大循環モデルの速度場をスペクトル解析することにより、傾圧性をもつ一般の循環場が、傾圧不安定をおこした後に中規模渦の発生となり、その中規模渦が卓越するに従い、特徴的な東西流を作り出すことがわかった。このような時間発展の様相は、非常に現実的な設定で行ったのにもかかわらず、理想化された過去の実験とほぼ整合する。また、このような構造は、中規模渦さえ表現できる海洋モデルであれさえすれば、粘性などのパラメーターや水平解像度などに大きくは影響しない。 より一般的な流れとの比較解析: 単に東西風が卓越し、およびスペクトルのピークが一致するだけでなく、スペクトルの形や構造も、木星や土星の縞構造にもみられる一般的なものと、海洋モデルで得られた海洋内部のものがほぼ一致することがわかった。このことにより、東西に岸がある海洋であるにもかかわらず、縞状の構造は南北に壁がない場合とほぼ同じ力学で説明されうる可能性を示唆した。 観測との比較: 高精度のADCP、CTDを組み合わせた測線との比較により、実際の海洋にもほぼ同じスケールの南北スケールを持つ流れが存在することが見いだされた。 理想的な実験: 風応力や地形など外部の要因が特徴的なスケールを決定する可能性を探るため、外力や地形に理想化されたものを用い、1000kmスケールよりも小さなものが外力のスペクトルに現れない設定で実験を行った。その場合でも、内部の自分自身の力学過程、つまり中規模渦により東西流が生成されていることがわかった。また、上の測線の観測結果では、天皇海山列のような構造と東西流の南北スケールが関係していることを示唆されていたが、それが海山のごく近傍を除けば海山などに関係ないことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)