2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740277
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
野中 正見 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (90358771)
|
Keywords | 南太平洋 / 水温躍層 / 亜熱帯モード水 / 海洋混合層分布 / 水温躍層水沈み込み過程 / 海洋大循環モデル / 海面水温変動 / 経年・十年規模変動 |
Research Abstract |
平成16年度の研究結果から、大気の長期平均場で駆動した高解像度海洋大循環モデルの数値解が本研究で注目する「南太平洋から赤道域への温度躍層内の海水分布」を良く再現していることが確認され、南太平洋から赤道域へ輸送される可能性のある南太平洋東部亜熱帯モード水という水塊の形成過程を理解することの重要性が示唆された。そこで本年度は、経年変動する大気場で駆動された海洋大循環モデルの解析も含めて、上記の水塊の形成・変動過程を調べた。この解析から、この水塊に相当する密度帯の水温が経年から十年程度の時間規模で変動し、それが東部亜熱帯南太平洋から赤道域へ伝播していくことが示された。このような伝播はこれまで低解像度の海洋モデルでも示唆されていたが、より現実的な高解像度モデルでも見られることが確認され、更に南太平洋東部亜熱帯モード水の形成がそれに深く関わることが示された。また、この氷温偏差の形成機構についての解析を行い、海面での大気強制の変化がこの水塊の形成される緯度帯を変化させ、水温変化をもたらすことが示された。この形成機構にでは、海表面の冷却がこの水塊の高温偏差をもたらす、という逆説的な現象が見られる。この結果は今後、他の海域においても水塊形成を理解する上で重要な考え方になる可能性がある。これらの研究結果はJournal of Climateに投稿中である。 以上の様な南太平洋の循環に関する直接的な研究に加え、中緯度から赤道域への遠隔的な影響に関する理想化した状況下での研究も前年度から行ってきた。その結果はJournal of Physical Oceanographyに掲載された。この中で中緯度域での混合層分布の重要性が示唆されたため、南太平洋に比べて観測データの多い北太平洋の混合層分布とその海面付近の水温変動への影響についても研究を行った。熊本大学理学部冨田智彦助教授との共同で行われたこの研究結果はJournal of Climate に掲載された。
|
Research Products
(2 results)