2004 Fiscal Year Annual Research Report
流星痕の高度分布・三次元構造の解析と中間圏・熱圏風速場の研究
Project/Area Number |
16740280
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
山本 真行 高知工科大学, 工学部, 講師 (30368857)
|
Keywords | 流星痕 / 三角測量 / 三次元構造解析 / 中間圏 / 熱圏 |
Research Abstract |
比較的明るい流星の出現後に稀に見られる流星痕は従来得られている観測データが極めて少なかった。研究代表者らは1998年より開始された流星痕同時観測(METRO)キャンペーンにより、しし座流星雨の好機に国内アマチュア流星観測者に流星痕撮影を呼びかけ、市民参加の観測キャンペーンにより史上初の大量流星痕画像の取得に成功した。本研究課題ではMETROキャンペーンで得られた成果を元に、多地点観測の成立した流星痕にっいて三角測量によって流星痕の出現高度ならびに三次元構造の解析を行ない、その時間経過から中間圏・熱圏における風速場を研究する。 平成16年度の成果として、流星痕画像データベース化に取り組み2編の流星痕カタログ論文を出版した(Toda et al.,2004; Higa et al.,2005)。同論文は1988〜2002年の国内流星痕観測を纏め上げた世界初の流星痕画像カタログであり、流星痕研究の基礎をなすデータとして活用が期待され、観測史的にも貴重な文献である。さらに同カタログに掲載しきれない画像についても世界の研究者による利用の便を考えweb上におけるMETROキャンペーンアーカイブとしての整備を進めている。 流星痕の高度解析結果については、1988年〜2001年に得られた観測例のうち、これまでに整約計算が得られている11例の傾向をカナダで開催された国際会議Meteoroids2004にて発表し、同成果を論文に纏めEarth, Moon, Planets誌に投稿中である。本研究により、オリオン座流星群による2例の流星痕を含む11例の高度解析結果から、永続流星痕の出現高度に関して109km〜75kmの高度領域を得た。また、しし座流星群による9例の流星痕に関して、平均中央高度92.6kmを得た。この高度は、Borovicka and Koten(2003)モデルのフェーズ3である酸化鉄FeOによる発光過程における流星痕発光高度を統計的に初めて明らかにした成果である。同発光過程においてはオゾンO_3の中間圏・熱圏下部からの供給と、流星痕物質の拡散を支配する背景大気圧力のバランスが重要であるとJenniskens(2000)等により指摘されているが、本研究はこれを観測的に求めた成果である。11例の分布から、流星痕高度の上端は98km付近で一定であるが、下端については地方時(輻射点高度)依存性が見られ、流星痕発光領域の流星経路長依存性が指摘できる結果を得た。 平成17年度は、空間分解能が高い観測結果について現在進めている三次元構造解析の解析例の追加と、その時間発展から中間圏・熱圏風速場について研究を進めていく予定である。
|
Research Products
(2 results)