2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740289
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
馬場 壮太郎 琉球大学, 教育学部, 助教授 (10347122)
|
Keywords | 高Mg堆積岩類 / サフィリン / ルーイシアン岩体 / 東南極 / 超高温変成作用 / 熱水変質 |
Research Abstract |
高Mg岩類の例として,スコットランド北西,サウスハリス地域に分布するルーイシアン岩体から見出された含サフィリン-斜方輝石-ザクロ石グラニュライト(SGO)について全岩化学組成分析を行った.分析に際しては,その周辺に分布する塩基性グラニュライト(5試料)についても同時に行った.SGOグラニュライトの全岩化学組成は周囲の塩基性グラニュライトに比べて,CaO(-10wt.%),SiO_2(-6〜9wt.%),Na_2O(-2.4wt.%),MnO(-0.1wt.%)に枯渇しており,MgO(+10wt.%),Al_2O_3(+3.5wt.%),K_2O(+4wt.%)に富むことが明らかになった.また,この結果を現在の海嶺にみられる熱水変質帯に分布する変質玄武岩,非変質玄武岩と比較したところ,同様の元素変動を確認することができた.微量元素についても,幾つかの共通点が挙げられたことから,SGOグラニュライトの原岩は原生代の熱水変質作用を被った玄武岩であることが明らかとなった.この結果は日本地質学会111年会において「含サフィリン-ザクロ石-斜方輝石グラニュライトは海嶺熱水変質玄武岩の化石か?」として報告した.この詳細について英文論文を作成中である. また,他の例として東南極シュリマッヘルヒルズに産する含サフィリン-斜方輝石-ザクロ石(SOG)グラニュライトについても全岩化学組成分析を行った.主要元素については測定を終了したが,微量元素については未測定のため継続して化学分析を行う予定である.SOGグラニュライトの周囲に産する塩基性グラニュライトはFeに富む原岩に由来することがその鉱物組み合わせ,鉱物化学組成から示唆された.このことからサウスハリス地域とは異なる形成過程を考察し,比較対照する必要がある.また,本地域は変成年代が明確でなかったことから,SHRIMP-IIを用いてU-Pbジルコン年代測定を行い,600〜800Maの年代を得た.この年代は従来の研究結果と大きく異なっており,注目すべき点である.また,本岩石は中央ドロンイングモードランド地域において超高温変成作用の存在を意味しており,この新知見について英文論文を作成し投稿した.
|