2005 Fiscal Year Annual Research Report
長崎変成岩類中の蛇紋岩メランジに産する変成岩塊の岩石学的研究
Project/Area Number |
16740303
|
Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
森 康 北九州市立自然史, 歴史博物館・自然史課, 学芸員 (20359475)
|
Keywords | 蛇紋岩メランジ / 構造岩塊 / ヒスイ輝石岩 / 長崎変成岩類 / 西彼杵 |
Research Abstract |
長崎変成岩類中の蛇紋岩メランジに産する変成岩塊の岩石学的特徴、形成過程、放射年代を明らかにすることを目的として野外調査および室内研究を行った。 野外調査は、九州西部西彼杵半島においてのべ7日間、野母半島においてのべ3日間実施した。西彼杵半島では、構造岩塊の多様性や産状を記載し、室内研究用試料を採集した。また、前年度に引き続き、踏査によるルートマップ作成などを行った。野母半島では、蛇紋岩および構造岩塊の産状を調査した。特に曹長岩やロジン岩について産状の記載と室内研究用試料を行い、西彼杵半島との比較を意識しつつ研究を進めている。 室内研究は、採集した試料の薄片顕微鏡観察、電子マイクロプローブ分析、蛍光X線分光分析などを行い、変成岩塊の岩石学的特徴を記載・整理した。ほとんどの変成岩塊は交代作用を強く受けているため、蛍光X線分析で得た全岩化学組成などをもとにアイソコン法による物質移動解析を行った。現在、解析結果をもとに変成岩塊の形成過程を物質移動の視点から研究を進めている。さらに、複数の試料についてAr-Ar法による雲母類の放射年代測定を行い、変成岩塊の上昇年代の解明を進めている。U-Pb法によるジルコンの放射年代測定についても準備を進めている。 蛇紋岩メランジに産するヒスイ輝石岩塊について、昨年度の研究結果を論文化しJournal of Mineralogical and Petrological Sciencesに発表した。この論文は、ヒスイ輝石+石英の鉱物組み合わせを持つヒスイ輝石岩の本邦で初の記載であり、鉱物の共生関係や反応組織からヒスイ輝石岩のP-Tパスを明らかにした。このほか、地球惑星関連学会合同大会(4月、幕張)および日本地質学会(9月、京都)において研究成果の発表を行った。
|