Research Abstract |
今年度は海洋研究開発機構の研究船である白鳳丸で南極周辺海域のKH-04-5次航海に乗船し,海水,懸濁粒子,堆積物および間隙水の採取を行った.海水はCTDカローセル採水器によって10測点で採取し,ヌクレポアフィルター(孔径0.4μm)でろ過して懸濁粒子を採取した.また,堆積物はマルチプルコアラーを使用して12測点で採取した.採取した堆積物試料は船上の4℃の恒温室の中で直ちに0.5cmから1cm毎に切断し,ポリエチレンシリンジと特殊な万力を使用して加圧し,メンブランフィノレター(孔径045μm)でろ過し間隙水を抽出した懸濁粒子はフィルターごと冷蔵保存して研究室へ持ち帰った.今後は乾燥重量の測定を行った後,個々の粒子の化学組成の分析を行う予定である.間隙水中の栄養塩はオートオナライザーを使用して船上で分析した.微量金属元素(鉄,マンガン,セレン,バリウム等)は研究室に持ち帰り今後分析を行う予定である. 今年度の分析作業については特にスールー海の堆積物中の金属元素の分析を行った.堆積物湿潤試料をMilliQ水によって脱塩し,乾燥させた後,メノウ乳鉢で粉砕した.この乾燥粉末試料を使用して,有機態炭素,全窒素,炭酸カルシウムの分析を行った.また,乾燥粉末試料に酢酸と塩酸ヒドロキシルアミンを使用してリーチングあるいは硝酸,過塩素酸,フッ化水素酸を使用して全溶解した試料をICP発光分光分析装置を使用して分析し,鉄,チタン,アルミニウム,マンガン,モリブデン,バナジウム,ニッケル,亜鉛,銅,バリウムの分析を行った.なお,この結果は2005年3月に開催された2005年度日本海洋学会春季大会「スールー海海底における物質の移動および循環について」で発表した.
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