2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740306
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
南 秀樹 北海道東海大学, 工学部, 准教授 (60254710)
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Keywords | 堆積物 / 間隙水 / 懸濁粒子 / 海底フラックス / 物質循環 / 生物生産 / 酸化還元環境 / 海底境界面 |
Research Abstract |
今年度は2年間分析を継続して行ってきたスールー海のデータ解析に重点をおいて、学会発表や学会などに公表することを中心に行った。 また、太平洋東部ペルー沖の堆積物および間隙水の試料の分析も行ったので報告する。この海域は世界の気候変動にも影響を及ぼす湧昇域として注目されており、周辺の海域と比較すると表層において水温や塩分が急激に変化し、発生する生物種、生物生産量、栄養塩などの溶存化学成分の水平および鉛直分布も大きく変化する。このように海洋表層の環境変化が著しい海域では、海底に到達する生物起源粒子の種類およびフラックスが変化し、この影響を受けて堆積する金属元素の挙動も変化するものと考えられる。そこで本研究では、海水および間隙水中の栄養塩やマンガンなどの金属元素の分析を行い、海底からの拡散フラックスを算出した。また、堆積中の有機態炭素、炭酸カルシウムおよびオパールなどの親生物元素と、鉄やマンガンなどの金属元素も分析した。このデータとひ14年代測定で算出した堆積速度を用いて、堆積量を算出した。湧昇域の堆積物では炭酸カルシウムの含有量が多く、60%から80%と極めて高く、石灰質軟泥であった。オパールについては湧昇域の赤道付近で高く、表層の生物種の変化が堆積物に反映されたものと考える。また、間隙水からのケイ酸塩の拡散フラックス(間隙水から海水へ)は堆積物中のオパール含有量が高い赤道域において高く(現状591mmol/m^2/yr)、南北にいく程低くなった。同様な傾向がマンガンでもみられた。また、C-14から算出した湧昇域の堆積速度は約2cm/kyrとなり、酸化物態マンガンの堆積量も赤道域付近で大きいことがわかった(現状12.8μg/yr)。このように赤道湧昇域では、深海底において親生物元素の堆積、溶解、回帰が行われ、金属元素も活発に移動・循環していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)