2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハフニウム同位体を用いた島弧火山マグマ発生過程の研究
Project/Area Number |
16740308
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
羽生 毅 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (50359197)
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Keywords | ハフニウム / 同位体 / 火山 / 島弧 / マグマ / 背弧海盆 |
Research Abstract |
島弧の火成活動におけるマグマの生成には、沈み込むスラブからの物質供給が重要な役割を果たしている。このスラブからの物質供給の様式とフラックスを調べるのに、ハフニウム(Hf)同位体分析を応用するのが本研究の目的である。さらに、沈み込んだスラブがマントル内物質循環にどのように寄与しているかを調べるためにもHf同位体を応用した。本年度の進行状況は以下のとおりである。 (1)東北日本弧の火成活動 東北日本弧の発達と火成活動の変遷を調べるため、中新世より現在にいたる時期の火山岩のHf-Sr-Nd-Pb同位体分析を行った。その結果、前期中新生の火山岩と後期中新生-第四紀の火山岩の間にはSr-Nd-Pb同位体比に対するHf同位体比に明瞭な差があった。この差は、前者においては日本海における背弧海盆拡大に伴って島弧下に高温のマントル物質の上昇が起こりそれがスラブ融解を引き起こし、後者においてはその後マントルウェッジ内の温度が低下し通常のスラブ脱水が起こるようになったと解釈された。この成果はG-cubedに投稿中である。 (2)ケルマデック島弧における火成活動 海洋性島弧においてはこれまでスラブ脱水が島弧火成活動の主原因であると言われてきたが、最近の研究では同時にスラブ融解も起こっているという証拠が出されてきている。このことを明確にするために、典型的な海洋性島弧であるケルマデック弧の火山岩について、Hf同位体を応用する研究を続行している。 (3)マントル内物質循環に関する研究 沈み込んだスラブ物質はマントル内不均質を生み出す要因の一つである。沈み込みに伴う分化作用に鋭敏なHf同位体を用いて、マントル内不均質と物質循環を調べる研究を試みている。そのため、不均質なマントルの成分を反映していると考えられる、ハワイとオントンジャワのマントルプルームに起因する火山岩のHf同位体分析を始めた。
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Research Products
(1 results)