2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザートムソン散乱法による低温再結合プラズマの電子温度・密度計測法の開発
Project/Area Number |
16740311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門 信一郎 東京大学, 高温プラズマ研究センター, 助教授 (10300732)
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Keywords | トムソン散乱法 / 低温再結合プラズマ / 境界層プラズマ / MAP-II / ダイバータ模擬装置 / 電子温度計測 / ダブルモノクロメータ / レイリーブロック |
Research Abstract |
レーザートムソン散乱法は高温プラズマの電子温度計測として確立された手法であるが,これを低温再結合プラズマに適用するにはいくつかの開発項目がある.ドップラー広がりが小さいためフィルター分光方式を用いることができず,光学系のスループットが小さくなること,及び低密度になると光量が低下すること等である.今年度はトムソン散乱計測系の設計,製作,性能評価,チャンバーへの迷光対策を行い,初期データを得た. レーザーは色素レーザーの励起光源として用いていたNd-YAGレーザーの第2高調波を色素レーザー筐体から取り出し利用可能に改造した.真空容器の入射・出射口にはブリュースター窓および3枚のバッフル板を設けることで窓や真空容器壁などでの散乱による迷光の低減を図った.分光器はダブルモノクロメータを自作し,性能評価を行った.市販のカメラレンズ(F2.8,f=135mm)と回折格子(1200Grooves/mm)を組み合わせた構造で,通常用いるスリット幅において0.2nmの波長分解能を有する.ダブルモノクロメータの1段目の像面にレイリーブロックといわれる空間フィルターの役割をするワイヤーを入れ迷光を除去するシステムを構築した.太さ0.3mmのワイヤーは波長空間で1.8nmに相当し,装置幅(0.2nm)程度に広がる迷光を十分遮光する.その一方,トムソン散乱スペクトルの中心部もこのブロックで遮光されてしまうため,電子温度の検出下限がこのブロックで決まる.半値全幅がブロックの幅に等しいスペクトルで検出下限を定義すると0.6eV程度の電子温度まで計測可能との見込みを得ている CCDで検出するスペクトルにはトムソン散乱光以外に分光器内で発生する迷光がある.その影響を抑えるために,迷光スペクトルをプラズマ中のトムソン散乱とは別に計測し,両者の差を取ることで4.5eVに相当するトムソン散乱スペクトルを得た.
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