2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子-固体、分子-ナノ粒子界面での電子励起と超高速ダイナミクス
Project/Area Number |
16750004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 恒夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30345095)
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Keywords | 非平衡グリーン関数 / 密度汎関数法 / 光化学反応 / 金属表面 |
Research Abstract |
固体、ナノ粒子界面での光化学反応を扱うための理論形式を新たに構築した。開発された理論は非平衡グリーン関数法を基礎においており、従来の量子化学的アプローチでは扱うことができなかった、固体、ナノ粒子側での光励起で誘発される吸着分子の化学反応を取り扱うことを可能にした。特に反応速度定数の光波長依存性を明示的に求める表現式を導き、光励起電子のトンネリングダイナミクスとの関係を明らかにした。強調すべき点として、界面系がもつ半無限性を、恣意的な系の分割を必要とせずに取り込むことができるため、金属表面、ナノ粒子への適用が可能であることが挙げられる。 また、この理論を密度汎関数法による第一原理計算スキームに組み込み、プログラムに実装することに成功した。これをAg(110)表面でのO_2光誘起脱離反応に適用し、その微視的メカニズムを明らかにした。結果、特にsecondary electronと呼ばれる、光励起電子の界面輸送過程で電子-電子散乱により生成される励起電子が、反応性を非常に高めていることが明らかになった。また、d-バンドからのバンド間遷移による励起電子とバンド内遷移による励起電子の性質の違い(遷移確率、electron-holeの寿命)が反応確率の波長依存性に非常に重要な寄与を及ぼすことがわかった。
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