2004 Fiscal Year Annual Research Report
過渡蛍光検出赤外分光法の開発と振動状態選択した溶質分子の振動緩和の研究
Project/Area Number |
16750009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 誠 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (60298172)
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Keywords | 振動緩和 / 過渡蛍光検出赤外分光法 / 溶質分子 |
Research Abstract |
振動励起分子のエネルギー散逸過程(振動緩和/振動冷却)は化学反応の初期過程であり多くの研究が行なわれてきた。一方、従来まで行なわれてきた典型的な研究手法であるUV-Raman二重共鳴法では、振動励起分子が、分子の自発的過程である内部転換を用いて生成されるため、特定の振動状態だけを選択的に生成することが事実上不可能であり、振動緩和/冷却のメカニズムの本質に迫る精密な研究は困難である。本研究では(1)特定の振動励起状態の分子を選択的に生成でき、(2)その振動状態の変化を高感度で追跡できる過渡蛍光検出赤外分光法を開発し、希薄な溶液中における溶質分子の振動緩和過程の実時間測定を行なう。 平成16年度は、過渡蛍光検出赤外分光法を開発・改良し、溶質分子の赤外スペクトル測定への有効性を確立した。過渡蛍光検出赤外分光法は、赤外と紫外の2色を使う二重共鳴法であり、まず、赤外光によって分子を振動励起する。次に、S_1状態にわずかに届かない紫外光を用いて、振動励起分子のみを選択的に電子励起する。赤外プラス紫外によってのみ生じるS_1状態からの蛍光を検出しながら、赤外光を波長掃引する事によって赤外スペクトルを得る分光法である。それと同時に、赤外と紫外の遅延時間の調節により、振動冷却によるポピュレーション変化を観測可能である。申請者は、7-アザインドール二量体、ローダミン6Gなどを試料に用いて過渡蛍光検出赤外分光法の原理検証実験を行い、希薄溶液中における溶質分子の振動緩和研究への有効性を示した。研究成果については国内学会および学術論文において発表を行った。
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Research Products
(1 results)