2004 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素橋頭位化合物の構造特性を活用した新規導電性高分子の開発に関する基礎研究
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16750026
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
幡野 健 埼玉大学, 工学部, 助手 (40332316)
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Keywords | ケイ素橋頭位化合物 / 分子軌道計算 / 電子構造 / ジシラビシクロ-[2.2.2]-オクタン / トリアニオン / 導電性高分子 |
Research Abstract |
目的とする高分子のモノマーとなるケイ素橋頭位化合物群の電子構造について分子軌道法を用いて求めた。分子起動計算の対象とした化合物は、橋頭位の2つのケイ素間を繋ぐ構造として、1,4-ジシラビシクロ-[2.2.2]-オクタン(1)、9,10-ジシラトリプチセン(2)、1,4-ジシラバレレン(3)を選んだ。これらのケイ素橋頭位化合物群では、2つの橋頭位ケイ素とその橋渡しをする架橋部分の構造がSi-C-C-Siである共通点を持っている。一方、そのSi-C-C-Siのうち中心のC-C結合は、1では単結合、2では1.5重結合、3では2重結合となっており、C-C間の結合距離は多重度の増加に伴い減少する相違点がである。1-3の最適構造を分子軌道計算法(XX)を用いて行なった結果、橋頭位の2つのケイ素間の距離は、1ではXXÅ、2ではXXÅ、そして3ではXXÅと1がもっとも短く、反結合性軌道のσ^*_<Si>の電子的な相互作用が最も多いと期待されることが分かった。これは、2、および3ではSi-C-C-Siの炭素原子はsp^2混成軌道をしており、∠Si-C-Cは120度であるのに対し、1では炭素がsp^3混成軌道をしているため∠Si-C-Cは109度と狭まく、橋頭位ケイ素同士が空間的に近寄ることが可能になっていると考察することができる。分子軌道法を用いた理論計算では、橋頭位ケイ素間の空間を介した電子的な相互作用は1の場合最も効率がよいことが示唆され、1をモノマーとする高分子を目的化合物として決定するに至った。 1は、トリビニルフェニルシランから4段階の反応で合成したトリス(ブロモエチル)フェニルシランのリチオ化によるトリアニオンとトリクロロシラン類との反応により、合成が可能であることが分かった。しかし、現在までのところその収率は著しく低いため、最終段階の反応条件の最適化を行なっているところである。
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