2004 Fiscal Year Annual Research Report
高周期典型元素と炭素との超原子価結合を環内に含む三員環化合物の合成と性質の解明
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16750028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 直和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00302810)
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Keywords | 三員環 / リン化合物 / ホスフィレン / ホスフィラン / ホスフィレン / チアホスフィラン / X線結晶構造解析 / NMR |
Research Abstract |
本年度の研究では、5配位リン原子と二つの炭素原子からなる不飽和三員環である5配位ホスフィレンを合成し、その構造、反応性を解明するとともに、他のヘテロ元素を含む複素三員環化合物との相違点を明らかにすることを目的として研究を行った。初めに、比較化合物として5配位リン原子と硫黄原子を含む複素三員環化合物である5配位チアホスフィランを合成した。5配位ホスフィレンは熱および加水分解に対して、比較的安定であった。X線結晶構造解析により、環内に5配位リンと炭素の他に電気陰性な硫黄を含む5配位チアホスフィランは三方両錐構造をとることがわかった。溶液中、^<31>P NMRの化学シフト値について顕著な溶媒効果が見られたことと、求核試剤によって容易にP-S結合の切断が進行したことから、アピカル位に位置するP-S結合が大きく分極していることがわかった。次に、3配位ホスフィレンに対して、トルエン中室温で1当量のo-クロラニルを作用させることにより、5配位ホスフィレンを合成した。X線結晶構造解析により、5配位ホスフィレンはリン原子周りが非常に歪んだ正方錐構造であることが分かった。^<31>P NMRでは5配位リン化合物に特徴的な高磁場領域に観測され、溶液状態でもリン原子が5配位状態を保っていることが示された。^<31>P NMR化学シフトは各種溶媒中で溶媒依存性がほとんど見られず、チアホスフィランとの違いが見いだされた。5配位ホスフィレンの三員環を構成するP-C間の結合定数は3配位ホスフィレンに比べ減少しており、二つの環内P-C結合が正方錐構造における高いp性を帯びたベイサル結合であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)