2004 Fiscal Year Annual Research Report
アズレン環を含む新規π系拡張型ピロール環状多量体の合成と機能性の開発
Project/Area Number |
16750037
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
奥島 鉄雄 愛媛大学, 理学部, 助手 (60359924)
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Keywords | 共役拡張ポルフィリン / ヘテロポルフィリン / アズレン / トリピラン / 逆Diels-Alder反応 / カルボカチオン / pK_<R+>値 / エレクトロクロミズム |
Research Abstract |
初めに、ビシクロ[2.2.2]オクタジエン縮環ピロールのみで構成されるトリピランの合成を行った。得られたトリピランと種々のジアルデヒドとの段階的な[3+1]型のポルフィリン合成反応により、テトラベンゾポルフィリン類似体の合成に成功した。ジホルミルアズレン、およびジホルミルインデンからN_3Cタイプを、またビシクロ[2.2.2]オクタジエン縮環フラン、およびチオフェンからN_3O、N_3Sタイプのヘテロポルフィリンが生成した。次に、これらのビシクロ縮環前駆体の逆Diels-Alder反応により、目的とするπ系拡張分子へ誘導できることを見いだした。また、アズレンとビシクロ[2.2.2]オクタジエン縮環2-アセトキシメチルピロールとの反応から、新規なアズリトリピランの合成に成功した。アズリトリピランについても[3+1]型のポルフィリン合成反応を適用し、同様の手法から共役拡張アズリポルフィリンを合成できることを明らかにした。これらの手法により自在にヘテロ原子を有する共役拡張ヘテロポルフィリンの合成へと研究を展開できると考えられる。 ヘテロサイクルとジ(1-アズレニル)メチリウムユニットの組み合わせによる新たなエレクトロクロミズムとなる系の構築を試みた。ビシクロ[2.2.2]オクテン縮環ホルミルピロールとアズレンとの脱水縮合によりジ(1-アズレニル)(2-ピロリル)メタンを合成し、続く酸化反応によりジ(1-アズレニル)メチリウムユニットをピロールとからなるメチルカチオンを生成した。pHメーターを用いて各pHでの吸収スペクトルを測定し、pK_R+値を算出し、カチオンの安定性を調べたところ、pK_R+値は10以上を示した。これらのカルボカチオンは塩基性条件下でも高い安定性を有しており、今後複数のジ(1-アズレニル)メチリウムユニットを種々のヘテロサイクルと組み合わせることにより、可逆な有機酸化還元系を構築し、それに伴って鮮やかに色調が変化する新規エレクトロクロミズムを構成することが期待される。
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