2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750039
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前多 肇 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (40295720)
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Keywords | 光化学反応 / 分子認識能 / 不斉光環化付加反応 / 面選択性 / 立体選択性 / ジアステレオ選択性 / 水素結合 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
光励起状態にある分子認識能を有効に発現できる光化学反応の反応場を設計し、その中でさらに分子間相互作用を発現させ、光化学反応が進行する過程の中で分子の配向性と立体化学を緻密に制御する斬新な方法論を開拓することを目的として研究を行ない、以下の成果を得た。 (1)不斉光環化付加反応を達成するための不斉環境分子の設計を行なった。芳香族カルボン酸を不斉環境場の近傍に位置させることが可能なキラルホストとして、擬C_2対称をもつキラル部位としてのフタル酸ジメンチルと、分子を一定方向に配列させるためのキサンテン部位をもつ化合物を設計し、分子軌道計算により面選択性の発現に有効であることを確認した。また、そのキラルホストの合成を目指し、部分骨格である4-エチニルフタル酸ジメンチルと4-プロモ-9,9-ジメチルキサンテン-5-カルボン酸の合成に成功した。 (2)水素結合を用いる立体選択的な光反応の開発を目的として、2,3-ナフタレンジカルボン酸ジメンチル(1a)と3-(ヒドロキシメチル)フラン(2)との光環化付加反応におけるジアステレオ選択性について検討した。その結果、ジアステレオ選択性は溶媒、反応温度、水の添加によって変化した。また、メンチル基の8位にフェニル基を導入した化合物(1b)を用いると、反応効率は低下するものの、deは67%に向上した。蛍光消光実験、低温NMRおよび分子軌道計算の結果より、エステル部位による立体障害と1a-bのカルボニル酸素と2のヒドロキシ基との間の水素結合が立体選択性を支配しているものと推定した。
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Research Products
(6 results)