2004 Fiscal Year Annual Research Report
19-ヒドロキシタキソールおよびその誘導体の不斉全合成研究
Project/Area Number |
16750042
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
松尾 淳一 社団法人北里研究所, 基礎研究所, 研究員 (50328580)
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Keywords | 抗癌剤 / タキソール / 不斉合成 / 立体選択的合成 / 酸化反応 / ピナコール / 脱水素化 / ヨウ化サマリウム |
Research Abstract |
19-ヒドロキシタキソールのBC二環性骨格を立体選択的に合成するために、8員環(B環)上にエポキシケトン部位を有し、側鎖に鎖状アルデヒド基を有する合成中間体を、研究代表者らが開発したスルフェンアミドを触媒として用いるアルコールの酸化反応を用いて効率的に調製した。この際、他の酸化手法では目的物を得ることが難しい場合であっても上記の手法により高収率で目的物を合成することができた。このように合成した中間体に、THF溶媒中で-100度という反応条件の下ヨウ化サマリウムを反応させたところ、望みの立体配置を持つBC二環性骨格を71%の収率で合成することができた。この反応によりビスアルドール構造を有する複雑な化合物を立体選択的に合成する手法を確立できた。 引き続き、19-ヒドロキシタキソールのA環を構築するために、A環を構成炭素鎖をhomoallyllihiumの求核付加反応によって立体選択的に導入した。この反応では溶媒がその立体選択性に大きな影響を与えることを明らかにした。種々官能基変換を行った後、分子内に二つのケトン部位を有する合成中間体に対して低原子価チタンを作用させたところ、分子内ピナコールカップリング反応が効率的に進行し、ABC三環性骨格が中程度の収率で得られた。このようにして、19-ヒドロキシタキソール合成に必要なすべての炭素骨格を立体選択的に構築することができた。 一方、塩化t-ブチルベンゼンスルフィンイミドイルを用いることによって、カルボン酸誘導体からα,β-不飽和カルボン酸誘導体を合成する新しい手法を開発した。この際、この脱水素化反応に望ましいカルボン酸誘導体の構造を明確にすることができた。この反応は、今後天然物合成などで応用されることが期待される。 また、ニューキノロン系抗生物質の部分骨格であるcis-2-fluorocyclopropylamineを相間移動触媒を用いるシクロプロバン化反応を用いて安全に合成できる手法を開発した。この際、シクロプロパン化に及ぼす置換基の影響を明確にすることができた。
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Research Products
(4 results)