2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機ケイ素配位子の特異性を生かした反応活性金属錯体の合成研究
Project/Area Number |
16750044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 久子 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60291085)
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Keywords | シリレン錯体 / ヒドロシリレン錯体 / ハロシリレン錯体 / タングステン錯体 / シリリン錯体 / シュロック型錯体 / タンタル錯体 / シリル配位子 |
Research Abstract |
(1)かさ高いトリス(トリメチルシリル)シリル基を有する(ヒドロシリレン)タングステン錯体および(ハロシリレン)タングステン錯体の合成 シリレン配位子上に水素あるいはハロゲンを1つ持つシリレン錯体は,その水素やハロゲンを引き抜くことにより,今だ未知の金属-ケイ素三重結合化学種であるシリリン錯体へ誘導できると期待される前駆錯体である。今年度は,シリレン配位子上の一つの置換基にかさ高いトリス(トリメチルシリル)シリル基を導入した(ヒドロシリレン)タングステン錯体および(ハロシリレン)タングステン錯体の合成を検討し,塩基である(4-ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)が配位した形でこれらの錯体を合成することに成功した。このうち,(ヒドロシリレン)(DMAP)錯体についてはX線構造解析により,結晶構造を明らかにした。 (2)トリス(トリメチルシリル)メチル基を持つ(ヒドロシリレン)タングステン錯体の性質 以前,当研究室で合成に成功したトリス(トリメチルシリル)メチル基を持つ(ヒドロシリレン)タングステン錯体の性質について研究し,この錯体がα,β-不飽和カルボニル化合物と温和な条件で反応し,[2+4]型の付加環化反応を起こすことを見出した。シリレン錯体による[2+4]型の付加環化反応はこれが最初の例となる。また,ケトンとの反応で,炭素-酸素二重結合の切断を伴う興味深い生成物も与えた。 (3)Schrock型シリレン錯体の合成研究 Schrock型シリレン錯体を合成すべく,その前駆体となるタンタル錯体および2,2-ジヒドロトリシランの合成を行った。
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