2005 Fiscal Year Annual Research Report
光応答部位および基質活部位を有する新規多核錯体の合成と反応開発
Project/Area Number |
16750046
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高尾 昭子 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (00345357)
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Keywords | 光応答性 / ルテニウム / 錯体 / ルテニウムトリスビピリジル / 可視光増感 |
Research Abstract |
昨年度は光応答性部位としてルテニウム(II)トリスビピリジル誘導体を有し、反応サイト(M)としてRu,Rh,Ir,Pdを含むRu...M二核錯体{(bpy)_2Ru(BL)ML}^<n+> (BL=2,2'-bipyrimidyne,2,3-bis(2-pyridylpyrazine)を合成し、その同定と構造解析に成功した。また、これらの錯体の物性をCV、UV-vis、および発光スペクトルにより評価した。本年度はこれらの錯体のうち、主にパラジウム錯体(M=Pd)を用いて反応性を調査したところ、末端アルケン類の二量化反応が進行し、光照射条件下では暗反応条件下に比べて反応速度が大幅に向上することを見出した。アルファメチルスチレンの二量化反応機構について詳細に調査し、いくつかの鍵中間体を単離・同定した。単離した中間体を用いたコントロール実験により、光照射が二分子目の挿入ステップを促進することを示唆するデータを得た。各光増感部位と反応部位のモデル錯体である[(bpy)_3Ru]^<2+>と[(bpy)PdMe(acetone)]^+の1:1混合物を用いても同様の反応は進行しないことから分子間ではなく、「分子内光増感」による反応の促進効果であると考えている。 分子内光増感の効率に最も影響を与えると予想される架橋配位子BL'について検討した。Me基、Br基で置換した2,2'-ビピリミジン配位子を有する一連の単核ルテニウム錯体[(bpy)_2Ru(BL')]^<2+>を新規に合成し、さらにロジウム、パラジウムフラグメントを導入することにより二核錯体[(bpy)_2Ru(BL')ML_n]^<n+>の合成に成功した。架橋配位子における置換基効果を明らかにするために主に単核錯体の物性評価を中心に進めたところ、5位に二つのメチル基で置換したビピリミジン(BL'=5,5'-dimethyl-2,2'-bipyrimidine)を有する単核錯体の発光強度が、対応する無置換の単核錯体[(bpy)_2Ru(bpm)]^<2+>に比べて著しく強いことを見出した。現在この原因を明らかにするために、分子軌道計算による解析を進めている。
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