2004 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガス吸着によって誘起される結晶相転移挙動の構造化学的研究
Project/Area Number |
16750051
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高見澤 聡 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助手 (90336587)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 細孔物質 / ガス吸着 / 結晶相転移 / 結晶構造 |
Research Abstract |
研究代表者が独自に見いだしている単結晶ガス吸着剤であるロジウムおよび銅の安息香酸-ピラジン錯体について、吸着挙動の温度および圧力依存性を明らかにするために、比較的単純な無機ガスである炭酸ガスおよび有機物であるエタノール蒸気についてガス吸着挙動を調べた。特にエタノール蒸気吸着では室温付近で著しいガス吸着挙動が見られるため、吸着挙動の温度依存性について詳細な解析を行った。その結果、本物質はエタノール蒸気吸着によっても相転移が誘起され、相転移前後の二つの結晶相が共存する一次相転移機構が明確となった。この二相共存状態における二相の存在比は二相共存状態でのガス吸着量の分率で規定される特徴を有しており、本物質で見られるガス吸着誘起相転移現象を"mass induced phase transition"と名付けた。また、細孔中に取り込まれたエタノール分子のOH…O水素結合二量体の選択生成を単結晶X線構造解析により観測した。本結果はガス吸着プロセスを用いて有機分子会合体を選択的に生成する新手法としての可能性を示唆している。また、超臨界ガスの吸着平衡状態における吸着構造の決定を目的にメタンガスを高圧下室温にて結晶内に吸着させ、単結晶X線構造解析によって吸着構造決定を試みた。その結果、飽和吸着状態の構造決定に成功した。周期的に配列しているにもかかわらず熱運動によって球形のメタン分子は高速に回転していると考えられ、ゲストの分子配向がランダムな結晶状態と考えられる。この特異な固体状態を包接柔粘性結晶状態と結論した。
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Research Products
(4 results)