2004 Fiscal Year Annual Research Report
3〜7族金属ハライドクラスターを触媒とする新規反応の開発
Project/Area Number |
16750054
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 賢 独立行政法人理化学研究所, 化学分析チーム, 研究員 (10321746)
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Keywords | 不均一系触媒反応 / 塩化モリブデン / 塩化タングステン / 芳香族化合物アルキル化 / アミン脱水素 / イミン / B酸 / ヘテロポリ酸 |
Research Abstract |
ハライドクラスターはバルク金属の部分構造である正八面体配置をとる金属原子団にハロゲンが配位した構造を持つ。1859年に最初の化合物の合成が報告され現在では多数の化合物が知られている。バルク金属のような金属-金属結合を持ちながら金属原子は+2価前後の中間酸化状態にあるという他の触媒には無い特徴を持ち反応論的に興味が持たれるが、触媒として利用された記録は皆無であった。しかし申請者は数年前にハライドクラスターが適当な加熱処理により触媒となることを初めて明らかにし、固体酸や白金族金属が行う反応の進行を見出してきた。本研究ではさらに数多くの反応例を実証することにより本触媒の特徴を明らかにし、最終的にはそれを生かしたハライドクラスター独自の新規反応の開発を目指している。本年度は固体酸が行う各種反応をハライドクラスター上で試みた結果、(1)芳香族化合物のメタノールによるメチル化が進行することを見出した。固体酸はL酸とB酸に大別され(1)はいずれの酸上でも進行する。ハライドクラスター上に発現した酸がどちらの酸であるかを調べるため塩基性物質を吸着させIR測定を行った結果、B酸に基づく吸収のみが観測された。以上からハライドクラスターはB酸としての活性を備えていることを明らかにした。また(2)二級アミンのイミンへの選択的脱水素が進行することも見出した。B酸のうち(2)を行うのはヘテロポリ酸のみであり、ハライドクラスターはヘテロポリ酸と同じ触媒活性を備えていることがわかった。ハライドクラスターではヘテロポリ酸と同様にアニオン部分が他のB酸よりも大きいゆえ陰イオン表面電荷密度が低く反応へのアニオンの関与が小さいため、他のB酸と異なる触媒反応が進行すると推察された。
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