2006 Fiscal Year Annual Research Report
3〜7族金属ハライドクラスターを触媒とする新規反応の開発
Project/Area Number |
16750054
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 賢 独立行政法人理化学研究所, 化学分析チーム, 研究員 (10321746)
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Keywords | 不均一系触媒反応 / ハライドクラスター / 反応開発 / 固体プロトン酸 / アミンアルキル化 / N-アルキルアミン生成 / アルキン水和 / ケトン生成 |
Research Abstract |
金属ハライドクラスターは無機化学の領域で新規化合物の合成を中心に研究がなされているが、触媒としての利用例は皆無であった。しかしバルク金属のように多電子多中心系で最大600℃程度まで熱にも安定であることに注目し、このクラスターの触媒への利用を研究している。これまでに加熱処理したクラスターが固体プロトン酸触媒として機能することを見いだし、いろいろな反応に適用できることを報告してきた。今年度はこれらの反応において見いだされた特性を生かしさらに新しい反応の開発を行った。一昨年に報告したトルエンのアルキル化反応ではアルコールがアルキル化剤として利用できることが見いだされた。そこで様々な化合物のアルコールによるアルキル化を試みた結果、芳香族および脂肪族アミンの一級アルコールによるN-アルキル化反応が最大98%の選択性で進行することを見いだした。芳香族アミンのアルキル化については多くの報告例があるが、脂肪族アミンについては報告例が少ない。また昨年にはアルキンの異性化および水素化反応が進行することがわかり、アルキンがハライドクラスター触媒により活性化されることを見いだした。そこでアルキンと様々な化合物との反応を試みた結果、アルキンの水和によるケトンの生成反応が最大99%の選択性で進行することを見いだした。従来の水和反応ではアルキンに対し過剰の水を必要としたが、ハライドクラスターではアルキンを等モル量の水で水和できることがわかった。2-ヘキシンの反応では2-および3-ヘキサノンがほぼ同じ選択率で生成することがわかった。これはこれまで報告されているプロトン酸触媒における結果と同じであった。このように今年度の研究を通じハライドクラスター触媒の反応適用範囲を拡大することができた。
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Research Products
(5 results)