2005 Fiscal Year Annual Research Report
液体クロマトグラフィーの高性能マイクロシステムの構築とその生体分子分析への応用
Project/Area Number |
16750056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石田 晃彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20312382)
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Keywords | マイクロ分析システム / 液体クロマトグラフィー / 微小流路 / 電気化学検出 / 微小電極 / 電極面積 / カテキン |
Research Abstract |
本課題の目的は,液体クロマトグラフィー(LC)の要素をガラスやポリマーチップ上に集積化したLCチップを作製し,これを生体分子の分離分析に適用してその有用性を実証することである。本年度は検出部である電極の面積が分離性能および感度(S/N比)に与える影響を検討した。その際,LCチップ間で生じる分離カラムの性能誤差が応答に影響しないよう同一の分離カラムで検討するために,分離カラムから出たバンドを分岐させ,それぞれ異なる電極で同時に検出するLCチップを作製した。電極は金をチップ上に蒸着することにより作製した。分岐部でバンドが等分されることについては蛍光顕微鏡法により確認した。このLCチップを用いて検討した結果,分離度は電極面積に依存しないことを確認した。これは分離カラム(2.5cm長,約10000段/m)から出た試料のバンド幅が電極幅よりも十分に大きいためである。バンド幅と理論段の関係を考慮すると,この結果は小さな分離カラムをもつLCチップ全般にあてはまるといえる。一方,S/N比に関しては電極面積が大きいほど減少した。この理由を電極表面上の試料の流体・拡散シミュレーションに基づいて考察した。すなわち,試料の電極反応が電極上流部で終了するため,電極面積が大きいほど下流部で面積過剰となり電極単位面積当たりに得られる電流値が減少するためと考察した。電極幅は50μm幅が最も有効であった。最後に,医学的な効果が報告されているカテキン類((+)-カテキン,エピカテキン,没食子酸エピガロカテキン)の分離を試みた。その結果,ベースライン分離を達成し,それぞれの検出限界は数百nMレベルであった。また,市販の各種茶飲料のカテキン分析に応用したところ,各成分の分離に加えて,茶葉の発酵の程度が各試料のクロマトグラムに反映していることが確認でき,実試料に対しても良好に適用できることを明らかにした。
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