2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子STM探針によるフロンティア軌道の可視化検出法
Project/Area Number |
16750059
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西野 智昭 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80372415)
|
Keywords | 走査型トンネル顕微鏡(STM) / 分子探針 / 化学選択性 / 自己組織化単分子膜 / フラーレン |
Research Abstract |
走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針分子としてfullerene誘導体を設計,合成した(C_<60>探針).このC_<60>探針を用いてporphyrinおよびその金属錯体をSTMで観察した.その結果,porphyrinの共後π電子系のみが選択的に明るく観察できることを見出した.これはC_<60>探針とporphyrinとの電荷移動相互作用に伴う電子波動関数の重なりを通じてトンネル電流が促進されたためであると考えられる.また,C_<60>探針との相互作用強度の違いを利用し,中心金属が異なるporphyrinをその最高被占軌道のエネルギー準位の違いに基づき識別できることを明らかにした. さらに,走査型トンネル分光法を用いて,探針であるC_<60>単一分子と試料porphyrin単一分子との間に流れるトンネル電流を測定した.負バイアスを印加した際には大きなトンネル電流が測定されたのに対し,正バイアス印加時にはほとんど電流は測定されなかった.すなわち,porphyrinからC_<60>へは大きな電子移動が生じるのに対し,逆にC_<60>からporphyrinへの電子移動はほとんど生じないことを見出した.以上の結果から,空間的に近接した電子供与体と受容体の間には電子移動が非対称に生じることを実証し,C_<60>-porphyrinのペアが分子整流素子として有用であることを単分子レベルで明らかにした(Proc.Natl.Acad.Sci.印刷中).
|
Research Products
(1 results)