2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換と吸着濃縮法を用いた電気化学的超高感度リン酸定量法の開発
Project/Area Number |
16750061
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
久保埜 公二 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00269531)
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Keywords | リン酸イオン / イオン交換 / 吸着濃縮ボルタンメトリー |
Research Abstract |
本研究は、従来法であるモリブデンブルー法の溶液に過剰量共存するモリブデン酸イオンをイオン交換樹脂を用いて除去し、生成物であるモリブデンブルーを分離・分解した後、モリブデンの濃度測定することで、間接的にリン酸イオンの定量を行うものである。本年度は、共存溶液からモリブデンブルーを効率よく分離できるイオン交換樹脂の選定、並びに分離条件の検討を行った。 最初にモリブデン酸イオンを効率よく配位するキレート系樹脂について検討した。配位部位として、8-quinolinol, H_2Clsalen, H_2Clbbenを選び、これら配位子を充填材であるHW-75Fにそれぞれアゾカップリングすることで樹脂化し、TSK-8HQ, TSK-H_2Clsalen, TSK-H_2Clbbenを得た。なお、合成したH_2ClsalenとH_2Clbbenはモリブデンの錯形成能を調べるために、構造解析を行った。得られた樹脂にモリブデンブルー溶液を通すと、全ての樹脂の色が変化し、モリブデン酸イオンが吸着されたが、充填材であるHW-75Fにモリブデンブルーも一緒に吸着されていることが分かった。よって、分離用の樹脂としてHW-75Fを選定した。また、分離条件について検討した結果、以下に示す方法でモリブデンブルーの分離が可能となることが分かった。HW-75Fを充填したカラムにモリブデンブルー溶液を通し、水50mlで洗浄した後、樹脂をカラムから取り出し、さらに水で超音波洗浄を行い、樹脂を濾過した。この洗浄操作を3回繰り返し、グラスフィルターで吸引濾取し、水酸化ナトリウム水溶液で樹脂に吸着したモリブデンブルーを溶離した。溶離液に硫酸と過酸化水素水を加えてモリブデンブルーを分解し、さらに煮沸して過剰の過酸化水素を分解することで、モリブデン酸イオン溶液を得た。なお、この溶液を用いてリン酸イオンの間接定量が可能であることが明らかになった。
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