2004 Fiscal Year Annual Research Report
無機固体表面に固定化された新規不斉還元触媒の開発に関する研究
Project/Area Number |
16750074
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
細田 尚也 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30334634)
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Keywords | ジアミン / 不斉合成 / ボラン還元 / シリカ / 不斉付加反応 |
Research Abstract |
(S)-プロリンを出発物質とし、アミノ基のZ基での保護、o-アミノベンジルアルコールとのカップリング反応、Z基の脱保護、アミドの還元を経て、(S)-2-アニリノメチルピロリジンの芳香環の2位にヒドロキシメチル基の結合した化合物1を、収率68%で合成した。次に、化合物1とギ酸エチルを反応させ、ピロリジン環のアミノ基にホルミル基の結合したジアミン2を合成した後(収率96%)、ジアミン2とクロロプロピルトリエトキシシランとを反応させることで、シリカに結合できる官能基の導入を試みた。しかしながら目的物を得ることはできなかった。そこで、先にクロロプロピルトリエトキシシランとシリカを反応させることでクロロプロピル基で修飾されたシリカ3を合成し、その後ジアミン2との反応を行ったところ、ジアミン2が固定化されたシリカ4を得ることができた。最後にホルミル基を加水分解することで、不斉ボラン還元に使用可能なシリカ5を合成した。触媒量のシリカ5を用いて、アセトフェノンの不斉ボラン還元反応を行ったところ、1-フェニルエタノールが収率54%、鏡像体過剰率16%eeで得られた。立体選択性が低いのは、(S)-2-アニリノメチルピロリジンの芳香環の2位にヒドロキシメチル基が結合しているためにジアミン部位が外側を向いておらず、触媒が有効に働かないためであると考えられる。o-アミノベンジルアルコールの代わりにp-アミノ安息香酸エチルを用いてジアミンの合成を行い、(S)-2-アニリノメチルピロリジンの芳香環の4位にヒドロキシメチル基の結合した化合物6の合成を試みた。現在、化合物6の精製法を検討している段階である。 一方、キラルな1,2-ジアミン類は、不斉ボラン還元反応だけではなく、ジアルキル亜鉛の不斉付加反応にも利用可能である。そこで現在、化合物6のピロリジン環のアミノ基にベンジル基の結合した化合物7も合成し、これをシリカに固定化することも試みている。
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