2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
依光 英樹 京都大学, 工学研究科, 助手 (00372566)
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Keywords | 水素ガス / ラジカル反応 / ホスフィン / アルキン |
Research Abstract |
本年度は申請書に基づき、低原子価遷移金属錯体に対して水素ガスを作用させて生じる遷移金属ヒドリド錯体を用いたアルキンのラジカルヒドロメタル化反応を当初計画し、検討していた。この研究を進めていく過程で有機合成上極めて有用なビホスフィンを用いたアルキンのジホスフィン化が進行することを見いだした。 近年トランス-1,2-ビス(ジフェニルボスフィノ)エテンが特異な配位構造をもたらす配位子であることが明らかとなり注目を集めている。このジボスフィンによって生じた配位構造をさらに階層的に集積化し高機能化ナノ材料を創製するためには、官能基を有する種々のトランス-1,2-ジボスフィノアルケン類を合成することが必要となる。しかしながらトランス-1,2-ジホスフィノアルケン類の合成例はほとんどない。また、既存のリン原子導入反応はいずれも過酷な条件を必要とするため、官能基を有するリン化合物を簡便に合成することは困難である。 本研究の研究代表者が上述の偶然の発見に基づき実際に検討を行ったところ、ラジカル開始剤としてAIBN共存下1-ドデシンに対してテトラフェニルビホスフィン(Ph_2P-PPh_2)を作用させベンゼン中加熱すると、トランス-1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1-ドデセンが定量的に得られた。本反応は様々な官能基を有するアルキンに対して適用可能であり、これまで合成例のない数多くの多官能性トランス-1,2-ジホスフィノアルケンの合成に成功した。
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Research Products
(4 results)