Research Abstract |
本年度は熱的および化学的に安定なアザフェロセンの合成に取り組むことにした。 まず当初の目的に従い、3,4-dimethoxy-1',2,3',4',5'-pentamethylazaferroceneの合成に取り組んだ。ピロール環部の骨格となる3,4-dimethoxypyrroleは、N-ベンジルイミノジ酢酸メチルとシュウ酸ジメチルとのHinsberg型縮合、水酸基のメチル基による保護、脱ベンジル化、エステル部の加水分解、脱炭酸により合成した。その後、Cp^*-H、3,4-dimethoxypyrrole、FeCl_2を使用して合成を行ったものの、予想に反し空気中で容易に分解してしまうものであった。そこで次に3,4-ethylenedioxy-1',2',3',4,5'-pentamethylazaferroceneの合成を同様の手法で行ったものの、こちらも空気中で容易に分解してしまうものであった。 そこで今度は立体的に嵩高い3,4-diphenyl-1',2',3',4',5'-pentamethylazaferroceneの合成を行った。ピロール環部の骨格となる3,4-diphenylpyrroleは、Hinsberg型縮合、トリフラート化、フェニルホウ酸とのパラジウム触媒クロスカップリング、脱ベンジル化、エステル部の加水分解、脱炭酸により合成した。その後、Cp^*-H、3,4-diphenylpyrrole、FeCl_2を使用して反応を行ったところ、3,4-diphenyl-1',2',3',4',5'-pentamethylazaferroceneが得られ、このものは空気中で取り扱い可能であった。 今後は3,4-diphenyl-1',2',3',4',5'-pentamethylazaferroceneを使用し、不斉配位子の設計および合成を行う予定である。
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