2004 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲット分子に対し特異的認識能を有するキラル充填剤調製法の確立
Project/Area Number |
16750092
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 智代 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80314045)
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Keywords | 光学分割 / セルロース / キラル固定相 / 分子インプリント / 高速液体クロマトグラフィー / 多糖誘導体 / 円二色性スペクトル |
Research Abstract |
セルロースやアミロースなどの多糖のフェニルカルバメートやベンゾエート誘導体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のキラル固定相として医薬品を含む広範囲のラセミ体に対して高い光学分割能を有しているが、分けたい化合物に適したカラムや溶離液を選択することは容易ではなく、またおよそ2割の化合物は分割する手段が見つからないのが現状であり、分けられない2割のキラル化合物をいかにして分割可能にするかが、この分野の大きな課題となっている。そこで、本研究では、分けたいものを分ける、ターゲット分子に対して特異的認識能を有するHPLC用キラル充填剤の調製法確立について検討を行った。これまでの研究では、セルローストリス(4-メチルベンゾエート)(1)を固定相に用いてキラル充填剤を調製する際、1のコーティング溶液の中にメチルベンゾエートやアセトフェノンを添加することで菊酸エチルエステル(2)に対して高い光学分割能を有するキラル充填剤の調製が可能であることを見いだしている。本年度は、インプリントした充填剤をカラムに充填後、カラムごと加熱して分割能を失わせたのち、後からアセトフェノンなどのインプリント分子を流し込むことでもインプリントが可能である(2に対する光学分割能を持たせることができる)ことを見いだした。この結果は、一本のキラルカラムがあれば、カラム充填後に分けたい化合物に対して分割能を様々に変化させることができる可能性の存在を示しており、大変興味深いものである。また、この光学分割能の変化について円二色性(CD)スペクトルを測定し、インプリントや加熱、また再インプリントによる1の膜のCD変化を観測することに成功し、1の光学分割能の変化を単なる現象からだけではなく、分光学的手法を用いた構造変化から議論することを可能にすることができた。
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