2005 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲット分子に対し特異的認識能を有するキラル充填剤調製法の確立
Project/Area Number |
16750092
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 智代 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80314045)
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Keywords | 光学分割 / セルロース / キラル固定相 / 分子インプリント / 高速液体クロマトグラフィー / 多糖誘導体 |
Research Abstract |
これまでの多糖誘導体を用いたHPLC用キラル充填剤の開発は、広範囲のキラル化合物に対して高い光学分割能を有することを目的に行われてきたが、ある特定の光学異性体に対して高い不斉識別能を有するキラル充填剤を合目的的に調製する手段の開発が今後重要となる。昨年度までの研究では、セルローストリス(4-メチルベンゾエート)(1)を固定相、菊酸エチルエステル(2)をターゲット分子に設定し、キラル充填剤を調製する際、1のコーティング溶液の中にメチルベンゾエートやアセトフェノンを添加することで2に対して高い光学分割能を有するキラル充填剤の調製が可能であること、また添加剤を入れて調製した充填剤は、カラムに充填後も、熱処理やインプリント分子導入によりカラム内で光学分割能を変化させることが可能であることを見いだしている。本年度は、インプリント分子を加えずに調製した1の充填剤のカラム中での分子インプリントについてより詳細な検討を行い、添加剤をあらかじめ加えなくても、メチルベンゾエートやアセトフェノンのヘキサン溶液をカラムに導入後、カラムに熱を加えることにより、カラム中でその能力を変化させることが可能であることを見いだした。さらに、1を用いた2の膜分離への応用として、アセトフェノンをインプリント分子として加えた1のクロロホルム溶液をレーヨンリボンにキャストし、溶媒を減圧で留去・乾燥させ、これを用いて2の不斉吸着実験及び連続光学分割実験を行った。その結果、HPLC用キラル充填剤と同様、2の(1R)-trans体を特異的に吸着させることに成功し、本手法により殺虫剤として有用な異性体の濃縮が可能であることを見いだした。
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