2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラセミラクチドの高立体選択的・特異的アルミニウム重合開始剤の設計
Project/Area Number |
16750094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 信嘉 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (70291408)
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Keywords | ラセミラクチド / ポリ乳酸 / 生分解性 / 立体選択的重合 / 立体特異的重合 / アルミニウム重合開始剤 / 配位子 / Schiff塩基 |
Research Abstract |
申請者が先に開発したアキラルSchiff塩基-アルミニウム錯体の配位子に様々な置換基を導入した。配位子のバックボーンにジメチル基を導入することで、反応速度が向上することを見出した。また、立体選択性に大きな影響を与えるサリチリデン基の3位に、SiMe_3、SiEt_3、Si^tBuMe_2、Si^iPr_3、Si^tBuPh_2、SnBu_3を導入し、化学修飾した重合触媒を合成した。ラセミラクチドをトルエン溶液中で重合させたところ、Si^iPr_3やSi^tBuPh_2を置換基に有する触媒では置換基が立体的にかさ高すぎ、重合は全く進行しなかった。これに対してSiMe_3、SiEt_3、Si^tBUMe_2(TBS)、およびSnBu_3を置換基に有する重合触媒では立体選択的重合反応が進行した。中でもTBS置換基を導入することで反応性は低下するもの、最も高い立体選択性を与えた。得られたポリ乳酸は長いポリ-L-乳酸ブロックとポリ-D-乳酸ブロックとがステレオコンプレックスを形成し、融点は209℃に達した。重合触媒の単離にも成功し、^1H NMR、^<13>C NMR、X線構造解析を行った。重合触媒であるアルミニウム錯体は、溶液状態でアキラル構造を有しているのに対し(NMR測定)、固体状態では三方両錘体構造による不斉環境を構築していることが分かった(X線結晶構造解析)。また、この重合触媒を用いた塊状重合も可能で、光学活性なポリ-L-乳酸より熱的に安定なポリマーを初めて合成することに成功した。 単離した錯体を用い、重合反応の反応速度論的解析を行った。これまで重合触媒の立体選択性を生成物の構造解析により調べていたが、ホモキラル-L-ラクチドの反応速度に対するラセミラクチドの反応速度の2倍の値で、末端鎖制御による触媒のイソ選択性を評価できることを立証した。
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Research Products
(3 results)