2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750095
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高須 昭則 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (30303697)
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Keywords | 水中脱水重縮 / エマルション / トリスドデシル硫酸スカンジウム / p-ドデシルベンゼンスルホン酸 / ジオール / ジカルボン酸 / 1,9-ノナンジオール(1,9-ND) / ドデカン二酸(DDA) |
Research Abstract |
脱水重縮合法は汎用的な重合法であり、多くの機能性高分子の合成に用いられている。また、副生成物が水のみであり最近の環境問題を念頭においた材料設計としても興味深い。とくに、高分子量かつ単分散のポリエステルを温和な条件で合成することは、高度に成長した高分子合成学術分野に残された大きな課題である。本研究では、ミセル(コロイド系)が、水分量を巧みに調節する現象に着目し、界面活性剤型ルイス酸を用いた脱水重縮合システムの構築を試みた。ブロンステッド酸を活用した例は既に報告されているが、ルイス酸-界面活性剤一体型触媒を用いて、水媒体中でのジカルボン酸とジオールとの脱水縮合によるポリエステル合成を検討した初めての例である。 まず、界面活性剤一体型ルイス酸触媒として塩化スカンジウム・六水和物とドデシル硫酸ナトリウムの反応により、トリスドデシル硫酸スカンジウム[Sc(DS)_3]を調製した。(収率:99%)次に、トリスドデシル硫酸スカンジウム[Sc(DS)_3]を用いて1,10-デカンジオール(DD)とセバシン酸(SA)の水中脱水重縮合を検討した。重合時間48時間、80℃で重量二平均分子量(M_w)が3000程度のポリエステルが合成できた(収率:99%)。次に、1,9-ノナンジオール(1,9-ND)とドデカンニ酸(DDA)の水中脱水重縮合を行った。その結果、M_wが4000のポリエステルを合成することができた。またプロトン酸であるp-ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)を用いて重合を行うとM_wが10100にまで増加した。この結果から、得られるポリエステルの分子量は基質であるモノマーに依存していることがわかった。界面活性剤とモノマーおよびポリマーからなるエマルションの安定性が影響しているものと考えられる。本研究では、脱水の操作を用いずにジオールとジカルボン酸の脱水重縮合を可能にし、分子量1万以上のポリエステルの合成を可能に出来たことが非常に意義深い。次年度はこの重合システムを半透膜中で行い、浸透圧と重合挙動の相関を調べる。
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Research Products
(7 results)