2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスから学ぶ超分子ナノデバイスの構築:生体高分子からナノテクノロジーへ
Project/Area Number |
16750100
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤内 謙光 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30346184)
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Keywords | 有機塩 / 自己組織化 / 非共有結合性高分子 / 超分子集合体 / 複合結晶 / 単結晶X線構造解析 / 高速大量処理 / 有機固体材料 |
Research Abstract |
これまで我々の研究室では有機塩を用いた超分子集合体の設計を行い、様々な構造体を作り出すことに成功してきた。そこでこれまで作り出すことに成功した非共有結合性高分子、超分子集合体を応用することで既存の物質と同様の構造と機能を発現できないかと考え、本研究の目的とした。自己組織化の過程を用いることにより均質で多様な機能を付与した構造体を得ることができると考えた。 以下に得られた結果を列挙する。 1.超分子ナノデバイスとなりうる構造のスクリーニングを行った。本研究は超分子構造体の構造ユニットとして有機塩を用いているのも特徴である。有機塩を用いれば煩雑な有機合成を伴わないことから、ハイスループット(高速大量処理)なスクリーニングを行うことがでた。この手法に従い大量の有機塩を作成した。 2.作成した有機塩を各種溶媒から結晶化させて、超分子構造の合成を行った。得られた超分子の、結晶中での構造と溶液中での構造を、赤外吸収分光法、核磁気共鳴分光法、熱重量分析法、X線粉末回折法などにより調べた。この結果、効率よく複合結晶を形成し、非常に興味深い層構造、カラム構造およびクラスター構造を形成していることを見出した。 3.有機固体材料はその分子構造だけでなく、その分子配列によっても大きく性質が変化する。今回、超分子構造を形成する有機塩の酸性成分に機能団を、塩基性成分に構造制御を持たせることによって固体状態における有機材料の性能を変化させることに成功した。このような材料開発の手法は幅広い分野に応用でき、非常に有益なものである。
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