2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケギン型ポリオキソモリブデートの物性・構造制御法の開発
Project/Area Number |
16750104
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
定金 正洋 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (10342792)
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Keywords | ポリオキソメタレート / 複合金属酸化物 / モリブデン / 遷移金属 / 分子構造制御 / 2次構造制御 |
Research Abstract |
触媒酸化反応はこれまで著しく発展し、化学工業にとって欠くことのできない存在となった。今後もその重要性はさらに増すと予想されるが、残された触媒酸化反応の多くは難度が高くなっている。これら高難度選択酸化反応を成し遂げる触媒開発には原子・ナノレベルでの触媒構造構築と機能構築が重要と考えられる。 アクリル酸類の合成において、工業的触媒として用いられているリンモリブデートは、モリブデンを主成分としリンを含む分子性複合金属酸化物である。このリンモリブデートの触媒設計法の確立を目的とし、原子レベルでの構造制御法の開発を行った。 平成16年度はリンモリブデートの1つの金属を2価遷移金属に置換した化合物の合成と、単離条件によってその2次構造(立方晶および正方晶構造)の制御が可能であることを見出した。平成17年度は本反応を溶液および固体31P-NMR、IR、ラマン分光法、元素分析、およびX線構造解析により詳細に分析することにより詳しい構造解析を行った。平成18年度は得られた化合物を触媒として用いて気相アルコール酸化反応と触媒の酸化還元能力を比較することにより以下のことを明らかにした。 (1)ケギン型リンモリブデートの1つのモリブデンを亜鉛、銅、コバルト、ニッケルに置換した化合物は単離条件によって立方晶体と正方晶体が得られるが立方晶のほうが熱に対して安定で、かつ酸化触媒としての性能も高い。 (2)遷移金属置換体は無置換体よりも高い酸化触媒性能を示した。酸素が酸化剤として働いている。 (3)置換した遷移金属は電子の受け渡しをすることにより、酸化触媒能力を発揮しているのではなく、アルコール分子を触媒上に近づけるための配位場として機能することにより触媒性能を発揮している。
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Research Products
(1 results)