2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子素子構築を目指した機能性有機分子のナノ組織化界面の創製とその特性評価
Project/Area Number |
16750106
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉本 惣一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30323067)
|
Keywords | 単結晶電極 / 走査型トンネル顕微鏡 / ポルフィリン / フラーレン / コロネン / 超分子 |
Research Abstract |
平成16年度はコロネンやポルフィリンの単分子膜を作製し、これらの膜の上にフラーレンおよびその誘導体をエピタキシャルに積層化させることを試み、走査型トンネル顕微鏡や電気化学測定を行うことによって新たな物性の発現を探った。金(111)単結晶表面上に形成した亜鉛オクタエチルポルフィリンの単分子膜上にフェロセン基を有するフラーレンC_<60>を吸着させたところ、フェロセン基に由来する酸化還元応答が明瞭に制御された。ポルフィリンと1:1の超分子構造を形成した結果、フェロセン基の配向が制御されたこととフラーレン部位の電極表面からの脱離が抑制されたことに起因すると考えられる。ポルフィリン中心の金属依存性についても検討した結果、中心金属に配位子が存在する場合にはフラーレンとの1:1吸着を阻害することも明らかとなった。またコロネン分子の単分子膜を作製し、この上にフラーレンC_<60>を2層目として積層させたところ、2次元的に組織化したハニカム状のC_<60>膜が形成された。さらにペリレン単分子膜上にC_<60>を形成したところ、ハシゴ型の特有な配列構造の形成が見出され、C_<60>は下地の分子の種類や配列構造や依存して特異的な構造を形成することが明らかとなった。さらに亜鉛オクタエチルポルフィリンを金(100)面上に吸着させ、金原子の配列制御に基づくポルフィリン単分子膜の制御を試みた。その結果、再配列構造と1x1構造上ではポルフィリン分子の配列構造が異なっており、さらにその上に吸着したフラーレン類は、再配列構造上に形成されたポルフィリン単分子膜の上では1:1超分子形成を、1x1構造上に形成されたポルフィリン単分子膜上ではランダムな吸着状態を示すことが明らかとなった。これらの結果は、ポルフィリン-フラーレン超分子構造の形成には分子の選択だけでなく、精密な吸着構造の制御が超分子形成に重要であることを示している。
|