2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノシートを用いた光駆動型論理演算素子の作製
Project/Area Number |
16750107
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50361184)
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Keywords | レドックス性高分子ナノシート / 光電流 / 光誘起電子移動 / フォトダイオード |
Research Abstract |
本研究は高分子ナノシートフォトダイオード(PNPD)を集積化し、光入出力駆動型論理演算素子の作製を目的とする。本年度はPNPDの固体化を目指し研究を行った。一般に光化学反応において光機能界面の構成材料として固相を用いた場合では、分子の拡散は極めて遅く、反応性や電荷伝搬性も小さい。一方でアガロースなどの多糖類は、らせん構造が絡み合うことで三次元網目構造中に多量の水を含んだ含水ゲルを形成する。このように多量の水を含んだ擬固体中では、分子拡散、イオン伝導などが溶液中と同様に起こることが報告されている。そこで本研究では擬固体型の電解質を用いた場合のPNPDの光電流挙動について検討した。 疑固体型ゲル電解質の作製 ゲル化剤にアガロースを用い1M NaClO_4および犠牲試薬として電子供与性のトリエタノールアミン(TEOA)または電子受容性のビオローゲン誘導体(V^<2+>)を所定量溶解させた。80℃以上に熱しながら2wt%のアガロース粉末を徐々に加え、攪拌し均一な溶液を得た。その後、室温に戻し硬く弾力のある擬固体型の電解質を作製した。 疑固体型ポリマーナノシートの作製 ルテニウム錯体、フェロセン誘導体を含有するレドックス性高分子p(DDA/Ru), p(DDA/Fc)をITO基板上にp(DDA/Ru), p(DDA/Fc)の順に所定層累積し、上記の手法で作製した固体電解質(TEOA含有)を膜が累積された電極と、 bareのITOで挟むことで光活性電極を作製した。この基板にRu錯体の吸収波長を照射するとアノード方向の光電流が観測された。一方で積層順序をp(DDA/Fc), p(DDA/Ru)と逆にし、固体電解質としてV^<2+>を含有したものを用いた場合、 Ru錯体励起に伴いカソード方向の電流が観測された。これより疑固体型の電解質を用いることでポリマーナノシートフォトダイオードの作製に成功した。
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