2004 Fiscal Year Annual Research Report
セレン原子を含む新規単一成分分子磁性伝導体に関する合成および物性研究
Project/Area Number |
16750112
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 絵美子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30361562)
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Keywords | ニッケル錯体 / 金錯体 / 単一成分分子 / セレン原子 / 結晶構造 / 伝導性 / 磁性 / TTF骨格 |
Research Abstract |
極低温まで金属性を有する[Ni(tmdt)_2]や、SDW反強磁性相転移温度以下でもFermi面の存在が示唆される[Au(tmdt)_2]に化学的な修飾を施した。、分子間相互作用の強化を期待してTTF骨格内の硫黄原子を部分的にセレン原子で置換した[M(tmstfdt)_2](M=Ni,Au)を作成した。[M(tmstfdt)_2]の黒色微結晶についてSPring-8の放射光ビームラインBL02B2を用いてX線粉末回折実験を行った。得られた[M(tmstfdt)_2]のX線粉末回折パターンは硫黄類縁体[M(tmdt)_2](M=Ni,Au)の場合と同様で、これら錯体の結晶構造は同形であることが判った。MEM/Rietveld法を採用して[M(tmstfdt)_2]の構造決定を行った。[M(tmstfdt)_2]は分子半分が結晶学的に独立で、分子構造は分子全体を通してほぼ平面であった。単位格子中には一分子のみが存在し、結晶中には二次元(M=Ni)もしくは三次元(M=Au)的なカルコゲン接触網が発達していた。[M(tmstfdt)_2]の加圧成形試料の電気抵抗を調べた。室温伝導度は100S・cm^<-1>(M=Ni)、11S・cm^<-1>(M=Au)と大きな値を示した。特に、M=Niの場合には50K付近まで金属的伝導挙動を示し、この錯体は低温部においても高伝導性[σ_<4.2K>/σ_<rt>【approximately equal】1]であることから、本質的には低温部まで金属であると考えられる。[M(tmstfdt)_2]の室温静磁化率は1.8x10^<-4>emu・mol^<-1>(M=Ni)、3.0xl0^<-4>emu・mol^<-1>(M=Au)であり、硫黄類縁体の場合と較べると小さく、セレン原子を導入した[M(tmstfdt)_2]でバンド幅の増大が示唆された。[Ni(tmstfdt)_2]の静磁化率は50K付近までPauli常磁性的で、その伝導挙動を支持する結果が得られた。
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Research Products
(6 results)