2006 Fiscal Year Annual Research Report
扇形分子を用いたマイルドな条件下での金属ナノワイヤーの合成法の確立
Project/Area Number |
16750114
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
植田 一正 静岡大学, 工学部, 助教授 (10275290)
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Keywords | 扇形分子 / 金属ナノワイヤー / redox反応 / 分子間相互作用 / 自己組織化能 / 一次元柱状構造 / 迅速再結晶 / 分子ワイヤー |
Research Abstract |
金属ナノワイヤーは、ナノスケール回路や量子効果を利用した電子デバイスへの応用が期待されている。しかし、これまでに報告された幅数nm程度の無機ナノワイヤーの合成には、高温、高圧や超高真空などの過激な条件が必要であり、その寿命は10秒以下と極めて短く、反応系から安定に単離されることは無かった。そこで本研究では、分子間相互作用の強いredox活性を示す扇型分子を利用し、常温・常圧下溶液中金属塩を還元することにより有機分子によってナノワイヤーが覆われた金属ナノワイヤーの合成方法の確立を目指して研究を進めている。平成18年度は、1)分子間相互作用を担う置換基を導入したredox活性扇形分子の自己組織化能の評価および、2)デバイス化を目指した基板上での簡便な構造体作成法の確立を行った。 1.分子間相互作用を担う置換基を導入したredox活性扇型分子の自己組織可能の評価 硫黄-ヨウ素間の相互作用の期待されるredox活性扇型分子を合成し、その結晶構造を明らかにした。結晶中、硫黄-ヨウ素間の弱いvan der Waals接触を介して、2分子がくぼみ部分を向かい合わせることにより、小さな空孔を形成していることが明らかとなった。 2.デバイス化を目指した基板上での簡単な構造体作成法の確立 直径200nmのポリスチレン微粒子が被覆率30%で表面を覆っている基板に、有機材料溶液を塗布し、溶媒蒸発後にセロテープで微粒子を剥ぎ取ることにより、粒子の存在した位置に外形130nm、厚さ10nm程度のリング状堆積物を簡単に得ることに成功した。この方法は、無機材料で用いられているクリーンルームや高真空装置を用いることなく、常温・常圧下で簡単に数十ナノメートルサイズのリング状堆積物を与え、ナノサイズの空孔を簡便に作成することを可能にした。
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