2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 京都大学, 工学研究科, 助手 (80311728)
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Keywords | π電子系 / 多置換オレフィン / 遷移全属触媒 / 蛍光性化合物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、π電子系における効率的多様性創出を可能にする新しい合成方法論を開発し、機能を有する新規な拡張π電子系を見出すことである。特にコアとなるπ電子系プラットホームの特定の位置に置換基を段階的に導入することで、多様な拡張π電子系の構築を目指した。 炭素-炭素二重結合はπ電子系における最小ユニットである。よって、これを基盤とするπ電子系(多置換オレフィン)の構築は極めて重要であり、その一般性の高い合成法の開発が望まれていた。平成16年度は、配位制御基を有するビニル元素化合物(CH_2=CHE)をプラットホームに用い、これが有する4つの化学的に非等価な結合に対する結合選択的なπユニット導入反応を開発し、これらを集積化することで多置換オレフィン骨格を基盤とした拡張π電子系の自由度の高い合成法を確立した。 さらに、ここで確立した方法を用いて、比較的短期間で130種類以上の拡張π電子系を選択的に合成することができた。興味深いことに、その多くは可視領域に蛍光を有しており、蛍光性有機化合物のライブラリーが構築できたこととなった。幅広い発光色の実現のみならず、非常に高い蛍光量子収率を有するものを見出すことにも成功した。さらに、ライブラリー情報からの構造物性相関の解明を目指した研究の過程から、興味深いいくつかの蛍光特性(蛍光波長や蛍光量子収率における特異な置換基効果や溶媒効果)を見出すこともでき、物性の予測が困難な蛍光の化学における本手法の有効性を示すことができた。
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