2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい分子設計概念に基づく刺激応答性シクロデキストリンホスト分子の開発
Project/Area Number |
16750120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木田 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20234297)
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Keywords | シクロデキストリン / 刺激応答性 / 骨格挿入 / ジスルフィド / 酸化還元 / 包接能 |
Research Abstract |
化学的刺激によるゲスト包接能の高度制御が可能なホスト分子の開発を目的として、シクロデキストリン(CD)の環骨格にジスルフィドユニットを挿入したホスト分子を設計し、その合成を行った。このジスルフィド挿入CDでは酸化還元によるジスルフィド-ジチオール間の相互変換によりCD環の開閉が可能となり、ゲスト包接能を完全にon-off制御できるホスト分子の構築に繋がると期待できる。まず、過塩素酸水溶液中で完全メチル化β-CDのグルコシド結合の一点開裂により直鎖オリゴ糖誘導体を合成し、続いてそれらの2つの遊離水酸基をメタンスルホン酸エステル化後、アジド化ナトリウムと反応させてアジド基を両末端にもつオリゴ糖誘導体を得た。アジド基をアミノ基へ還元後、3,3'-ジチオジプロピオノイルジクロリドとの反応により分子内環化させ、目的とするジスルフィド挿入CDを合成した。このジスルフィド挿入CDの精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびODSカラムクロマトグラフィーにより行った。また、合成した化合物の構造の確認は、^1H NMR、^<13>C NMR、MALDI-TOF Mass、IRスペクトルにより行った。次にブリリアントグリーン(BG)及びメチルオレンジ(MO)をゲスト分子に用いて、UV滴定法により包接能の検討を行った。比較として用いた完全メチル化γ-CDはMOとBGに対してほぼ同程度の包接能を示した。一方、ジスルフィド挿入CDではBGに対しては高い包接能を示したのに対し、MOに対しては全く包接能を示さず、BG選択性が認められた。ジスルフィド挿入CDの空孔サイズがMOのサイズよりもはるかに大きく、安定な包接錯体が形成されなかったためと考えられる。また、このホスト分子を還元剤であるジチオスレイトール水溶液で処理するとジスルフィド結合の開裂が起こり、BGに対する包接能が大幅に低下した。
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Research Products
(1 results)