2004 Fiscal Year Annual Research Report
低分子ゲルを活用した非共有結合性πスタックポリマーの開発と材料展開
Project/Area Number |
16750122
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 典史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (10346819)
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Keywords | πスタックポリマー / ゲル / ポルフィリン / 遷移金属 / 自己集合 / コレステロール / 刺激応答 / チキソトロピー |
Research Abstract |
本研究は、自在な色素導入が可能なπスタックポリマー群の創製並びに、安定な刺激応答性ナノ材料の開発を目的としている。初年度にあたる本年度は種々の機能性を有するπスタックポリマー群の創製に注力した。 1.低分子ゲル内に生成するπスタックポリマーを介した光エネルギー捕集系を構築した。簡便な置換基修飾によりエネルギーレベルのチューニングが可能な色素であるペリレンに着目し、4種類のペリレンに各々コレステロール基を導入したπスタックモノマーを合成した。適当な溶媒系において、これら4種類のペリレン誘導体からなる一次元状πスタックポリマーが生成することを透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、各種分光学的手法により確認した。色素の発光挙動を詳細に検討し、πスタックポリマーを介した段階的なエネルギー移動系の構築を証明した。 2.励起状態のミクロ環境に応じてねじれ型分子内電荷移動状態を生成しうる色素をπスタックモノマーに導入し、低分子ゲルに特有な熱可逆的ゾル-ゲル相転移挙動に伴う蛍光発光制御を達成した。 3.発達したπ平面を有するポルフィリンに縮合性置換基であるトリエトキシシランを導入し、生成するπスタックポリマーを共有結合にて固定化した。本ポルフィリン集積体は非線形光学材料などとして有望であるJ会合様式を有する。 4.配位性低分子ゲル化剤を開発した。可視領域に吸収を有し、多様な酸化還元挙動を示す遷移金属の導入により、化学的酸化/還元によるゾル-ゲル相転移制御に成功した。このゲルは、熱的ゾル-ゲル相転移に伴い配位環境が摂動を受けサーモクロミズムを示す。 5.側鎖にジアセチレンを有する銅ポルフィリンは、チキソトロピー性を有する低分子ゲルを生成する。光重合後はπスタックポリマー鎖に沿って、導電性を有するポリジアセチレンが生成していた。原子間力顕微鏡観察により、この自己集合性ポリマーは非常に強いππスタックが効果的にはたらくため、単分子で安定なナノワイヤーを与える事が判明した。
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Research Products
(7 results)