2004 Fiscal Year Annual Research Report
燃焼炎を用いる新しいラジカル供給法による水溶液内反応現象の解析
Project/Area Number |
16750129
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 美穂 東北工業大学, 工学部, 助教授 (10292236)
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Keywords | 燃焼炎 / 水素 / ヒドロキシルラジカル / 水溶液反応 / 促進酸化処理 / 廃水処理 |
Research Abstract |
燃焼炎は燃料に応じて炎中に各種ラジカルが生成することが知られており、燃焼炎を水溶液界面へ吹きつけると、燃焼炎中のラジカルは水溶液中へと移動する。特に水素一酸素燃焼炎においては、主に、水素ラジカルおよびヒドロキシルラジカルが水溶液中に供給され、このヒドロキシルラジカルの酸化力を利用して燃焼炎の廃水処理への適用が可能となる。本研究では、水溶液中に生成する過酸化水素、硝酸イオンおよび亜硝酸イオン各濃度を定量し、燃焼場の気相成分が水溶液中への化学種供給に及ぼす影響等、水溶液へのラジカルに及ぼす諸反応条件の影響について検討した。 気相が単一成分の場合、水溶液中に生成した過酸化水素の濃度は、アルゴン、二酸化炭素、酸素およびヘリウムの場合は、時間とともに増加した。生成した過酸化水素濃度に差が生じた原因としては気体と燃焼炎の反応性や熱伝導性の違いなどが考えられる。窒素を流通させた場合には、反応開始30分以降に濃度が減少した。これは、気相中の窒素が燃焼炎中に生成したラジカルにより酸化され水溶液中に生成する亜硝酸イオンが、水溶液中で過酸化水素により酸化され、硝酸イオンになったためであると考えられる。また、同時に生成する硝酸イオンおよび亜硝酸イオン各濃度は、反応開始30分以降にそれまで増加していた亜硝酸イオン濃度が減少し、一方、硝酸イオン濃度は急激に増加し、過酸化水素生成量の経時変化に関する推測を裏付ける結果となった。アルゴン、酸素および窒素混合気体下で反応させた場合に生成した過酸化水素濃度は、窒素の割合を少なくすると、上述のような濃度減少が見られくなった。また、窒素一酸素混合気体の場合には、濃度の増加と減少が繰り返された。これは、酸素のラジカル捕捉作用および窒素酸化物の生成による酸素の消費等、複数の反応が起きているためと推測される。
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