2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750130
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小泉 直人 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50302188)
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Keywords | 4,6-ジメチルジベンゾチオフェン / 水素化脱硫反応 / キレート剤 / NiW触媒 |
Research Abstract |
本年度は特異な構造を有する硫化物ナノクラスターの触媒作用を明らかにするにあたって,まず汎用のアルミナ担体上に形成した硫化物ナノクラスターの触媒作用を明らかにすることを試みた。具体的には軽油の超低硫黄化を念頭に置いて,軽油中に含まれる難脱硫性化合物の4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(4,6-DMDBT)の水素化脱硫(HDS)反応を用いてNiW/Al_2O_3触媒へのキレート剤(CyDTA)の添加効果を調べた。我々は既にNiW/Al_2O_3調製時にCyDTAを用いるとNiとWから構成される複合硫化物ナノクラスターが選択的に形成することを見出しており,CyDTAが4,6-DMDBTのHDS反応に対してどのような効果を示すのかに注目した。 NiW/Al_2O_3触媒を用いた4,6-DMDBTのHDS反応(573K,5.1MPa(H_2))では3種の脱硫生成物(ジメチルシクロヘキシルベンゼン(DMCHB),ジメチルビシクロヘキシル(DMBCH),ジメチルビフェニル(DMBPh))と水素化生成物(テトラヒドロジメチルジベンゾチオフェン(THDMDBT)が生成した。この中でTHDMDBT,DMCHBおよびDMBCHを経由する反応経路を水素化(HYD)ルート,水素化を受けず脱硫されたDMBPhへの反応経路を直接脱硫(DDS)ルートと呼ぶ。まず,CyDTAを用いて触媒を調製すると,脱硫生成物の収率が約2倍向上することが明らかとなった。次いで,生成物選択性に注目すると,触媒調製時にCyDTAを用いるとDDSルートの選択性は向上するが,HYDルートの選択性はほとんど変わらないか,むしろやや低下する傾向を示すことが分かった。触媒調製時にCyDTAを用いるとNiとWから構成される複合硫化物ナノクラスターが選択的に形成することを考慮すると,このようなナノクラスターは4,6-DMDBTのC-S結合の解裂を促進して,トータルのHDS活性を向上させるものと推定される。
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