2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750133
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
牧 秀志 神戸大学, 工学部, 助手 (30283873)
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Keywords | イミド / 難燃材料 / 環状リン酸 / 31P NMR / 15N NMR / 無機系難燃材 |
Research Abstract |
合成時の諸条件を検討した結果、酸以外の水溶液では加水分解反応が進行せず、また強酸では副生成物である環状イミド三リン酸イオン類が生成しやすくなることが分かった。そこで弱酸である0.2Mプロピオン酸水溶液中で80℃で8時間加水分解反応を行うことで、架橋窒素原子が1つ酸素原子に置換されたNa_4cP_4(NH_3・H_2O(純度約2%)を含む混合物を得た。この混合物を少量の水に溶かし、硝酸を加えてpH2.5に調整後、アセトンを溶液の3/4体積量加えると、Na_2H_2cP_4(NH)_4・2H_4Oが沈殿した。これは溶液が酸性になるとcP_4(NH)_3^<4->に比べて塩基性が高いcP_4(NH)_4^<4->にプロトンが付加し、溶解度が低下するためである。それをろ別してろ液にアセトンを加え、純度約95%のNa_4cP_4(NH)_3・H_2Oを得た。 ^<31>PNMR測定の結果、cP_4(NH)_3^<4->には磁気的環境の異なる2種類のリン原子が存在するため、2本の一重線が観測された。磁気的に非等価な隣接^<31>P核からのカップリングでシグナルが二重線に開裂することが予想されたが、分子構造が歪んでいるためにカップリング定数が小さくなったと考えられる。 ^<31>PNMR測定および電位差滴定により決定したcP_4(NH)_3^<4->の酸解離定数,pK_1,は共に3.09となった。また、全ての架橋原子が酸素原子および窒素原子であるcP_4,cP_4(NH)_4^<4->のpK_1はそれぞれ1.79および3.73であった。cP_3(NH)_n^<3->(n=0-3)系で見られたように、cP_4(NH)_n^<4->(n=0,3,4)系でも架橋窒素原子数と配位子の塩基性がほぼ直線関係にあることがわかった。 Na_4cP_4(NH)_3・H_2OのTG-DTA測定の結果。300℃前後におけるイミノ基の脱離による発熱反応が2段階で発生した。これは化学的性質の異なる2種類の窒素原子が存在するためであると考えられ、燃焼時に比較的広範囲の温度に渡って難燃効果を発揮できる可能性を示唆している。
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