2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750137
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
越田 周平 北海道大学, 大学院・理学研究科, 寄附講座教員 (70372266)
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Keywords | 糖鎖 / 無保護オリゴ糖 / 集合化 / オキシルアミノ基 / クラスター効果 / 糖ペプチド / N-結合型糖鎖 |
Research Abstract |
糖鎖においては、複数の糖鎖が集合化することで強い生物活性を示すという、いわゆる(糖鎖)クラスター効果がしばしば観測される。このクラスター効果を効率よく研究するための、糖鎖集合体の効率的合成法の確立を目的として研究を行なっている。 方法論としては、糖の1位アノマー位と特異的に反応する官能基を末端に有するリンカー化合物を設計・合成し、このリンカー化合物と無保護オリゴ糖を反応させることで、1段階(もしくは短工程)で構造明確な糖鎖集合体を効率良く得るというものである。昨年度の研究では、糖の1位アノマー位と反応する官能基としてオキシルアミノ基を選択し、糖との反応性の評価並びに反応条件の最適化を行った。 今年度はさらに、オキシルアミノ基と同時に糖以外と反応する官能基も有する、高機能化リンカー化合物を設計・合成した。これを用いることで、糖鎖を集合化した後に他の化合物に導入可能となり、標識化、固定化、また複合糖質(糖ペプチドなど)合成などに使用することができる。具体的にはオキシルアミノ基(1または2個)と保護ケトン基(温和な条件で脱保護可能なフェニルチオ基で保護)を併せ持つリンカー化合物を合成した。まずオキシルアミノ基で糖鎖を結合させた後、ケトン基の脱保護を行い、末端に遊離ケトン基を有する糖鎖集合体の合成に成功した。集合化させた糖鎖としては、昨年度までの単糖、二糖のみならず、天然物由来のN-結合型糖鎖の集合化にも成功した。またケトン基の脱保護法を検討し、糖鎖構造を損なうことなく脱保護可能とした。 このように、末端ケトン基を利用することで、アミノ基やオキシルアミノ基を持つ他の化合物に導入することが可能である、糖鎖集合体の効率的合成に成功した。
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