2006 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性マラリアワクチンの化学合成とワクチン-抗体相互作用の分子構造解析
Project/Area Number |
16750139
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
奥 浩之 群馬大学, 工学部, 助教授 (20301749)
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Keywords | マラリアワクチン / 人工抗原 / ペプチド合成 / 構造解析 / 核磁気共鳴スペクトル / 液相法 / ポリリジン / エノラーゼ |
Research Abstract |
(1)序論 マラリアは熱帯〜亜熱帯地方に流行する寄生虫感染症であるが、現在でも臨床応用されているワクチンが無い。共同研究者の鈴木と狩野らは流行地の疫学調査から、熱帯熱マラリア原虫が産生するエノラーゼは流行地住民の血清中に抗体が多く存在することを明らかにしてきた。そこで我々はAla256-Asp277の部分ペプチド(AD22)を用いた人工抗原研究を行っている。平成19年度は合成面(AD22の多抗原化高分子)と構造面(AD22の構造解析)から研究を行った。 (2)ワクチン分子の化学合成 本研究の合成面での検討として、AD22配列とポリリジンとの複合体を合成した。 poly[Lys-co-Lys(protected ND14-Gly-)]およびpoly[Lys-co-Lys(protected AD22-Gly-)]を合成し、平均重合度90のポリリジン鎖1分子当り2分子の保護抗原を担持できる事を明らかにした。更にTFMSA-TFA-thioanisole,m-cresolの処理によって脱保護されたpoly[Lys-co-L.ys(ND14-Gly-)]及びpoly[Lys-co-Lys(AD22-Gly-)]を合成した。また本年度は、製造方法の特許(WO2006/035815A1)についてJSTの補助を受けて各国移行(日米英印仏スイス独伊)の手続きを開始した。 (3)ワクチン分子のコンフォメーション解析 AD22についてPBS中でのコンフォメーション解析を行った。15Nラベル化AD22の3次元NMR測定を抗AD22抗体の存在下と非存在下で測定した。その結果、AD22分子の各シグナルについて帰属と温度依存性の解析に成功した。スペクトル中には明瞭なtransfer NOEは観測することができなかった。更に測定条件を精査して再測定することで、今後実施するワクチンの分子設計に役立つと期待される。
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Research Products
(8 results)