2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750140
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須磨岡 淳 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (10280934)
|
Keywords | DNA / 制限酵素 / セリウム / 加水分解 / リン酸ジエステル / 遺伝子操作 / ポルトゲノム / 人工制限酵素 |
Research Abstract |
昨年度開発した1本鎖DNAを塩基配列特異的に切断する人工酵素が、バイオテクノロジーのツールとして実際に応用が可能であるかについて検討した。今回は、遺伝子組み換えを行うターゲット長鎖DNAとして、GFP遺伝子およびBFP遺伝子を選択した。これは、GFP遺伝子とBFP遺伝子との間で、わずか数アミノ酸が異なるだけであり、さらには同じアミノ酸をコードしているがコドンが異なる部分があるために、目的の組換え操作の実証には最適と判断したからである。 まず、人工制限酵素を用いてGFP遺伝子をターゲット部位で切断し、この断片と別途調製したBFP遺伝子の一部とをリガーゼを用いて結合し、組換えDNAを調製した。塩基配列を確認したところ、目的の組換えDNAが調製されていることが確認された。さらに、この組換えDNAを大腸菌に導入し、BFPの発現に関しても確認した。これら結果は、今回開発した人工制限酵素が、遺伝子工学やゲノム機能解析などの次世代ツールとして、有効であることを強く示唆するものである。 また、より高活性な人工制限酵素を構築するために、 Ce(IV)によるリン酸ジエステル結合の切断のメカニズムについて検討を行った。Ce(IV)が均一な低いpH条件での動力学的な解析の結果、 Ce(IV)は単独で働くのではなく、複核のクラスターを形成し、これがリン酸ジエステル加水分解に主要な役割を果たしていることが明らかになった。この結果は、生理条件下においても、Ce(IV)がクラスターで作用していることを強く示唆するものである。従って、より高活性な人工制限酵素の開発のためには、Ce(IV)を多核で含むような錯体の構築が必須であることが明らかになった。
|
Research Products
(3 results)