2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘアピンループDNA/RNAを認識するモデルペプチドの速度論的機能評価
Project/Area Number |
16750150
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
川上 純司 甲南大学, 理工学部, 講師 (40289012)
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Keywords | 分子間相互作用 / 熱力学的パラメータ / 速度論的パラメータ / 分子認識 / ヘアピンループ構造 / モデルペプチド / インビトロ選択 / 局所的相互作用 |
Research Abstract |
核酸と蛋白質の特異的な相互作用は、生体内に見られる相互作用の中でも最も重要なものの一つである。核酸-蛋白質相互作用に見られる厳密な分子認識の詳細な解析を通して、認識様式の模倣や阻害が、広い学問分野で盛んに研究されている。しかしながら、興味深く複雑な機能を発現する蛋白質は非常に分子量の大きな場合が多い。従って、これまでの蛋白質研究においては、巨大な蛋白質分子全体を用いた研究が大部分であり、各論をつなぎ合わせる理由付けが求められている。本研究では、このように複雑な相互作用系を解釈するために、全体から一部分の相互作用を抽出したモデル系の構築とその詳細な解析を目的とした。具体的な方針として、単純化した核酸構造を認識するモデルペプチドと、逆にペプチドを認識する核酸構造という、互いに相補的な情報を提供し得る新規機能性分子の取得を行うこととした。 研究の初年度となる今年度は、モデル系の核酸側コンポーネントとして熱力学的に安定な核酸構造を得るため、核酸の高次構造形成に関する熱力学的パラメータの算出を行った。特に、生体内環境を模倣した条件下での熱力学的安定性の研究から、世界中で汎用される熱力学的安定性予測プログラムで算出されるエネルギー値が、生体内環境下よりも過大評価されていることを明らかにした。また、水の活量と核酸構造の安定性の相関を詳細に解析した結果、生体内環境下でどの程度不安定化するかを定量的に明らかにした。また、認識におけるアンテナとして利用するために、L-糖やアミノ酸側鎖を有する非天然型ヌクレオチドを合成し、核酸への導入が熱力学的安定性に及ぼす影響を定量化した。中でもヒスチジンの連続配列を持つ核酸ペプチド(NAP)を核酸に導入することで、容易に核酸鎖を固相へ脱着できる系を構築することができた。これにより、モデル系における核酸-蛋白質相互作用をウラムを用いた簡便な系で迅速に評価できるようになった。
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