2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘアピンループDNA/RNAを認識するモデルペプチドの速度論的機能評価
Project/Area Number |
16750150
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
川上 純司 甲南大学, 理工学部, 助教授 (40289012)
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Keywords | ナノバイオ / 分子認識 / モデル化 / 熱力学的解析 / 速度論的解析 / ヘアピンループ構造 / インビトロ選択 / 局所的相互作用 |
Research Abstract |
核酸と蛋白質の特異的な相互作用は、生体内に見られる相互作用の中でも最も重要なものの一つであるが、興味深く複雑な機能を発現する蛋白質は非常に分子量の大きな場合が多く、複雑系で得られた各論をつなぎ合わせる理由付けが求められている。本研究では、複雑な相互作用系を解釈するために、全体から一部分の相互作用を抽出したモデル系の構築とその詳細な解析を目的とした。具休的な方針として、単純化した核酸構造を認識するモデルペプチドと、逆にペプチドを認識する核酸構造という、互いに相補的な情報を提供し得る新規機能性分子の取得を行うこととした。 研究の初年度には、モデル系の核酸側コンポーネントとして、熱力学的に安定な核酸構造を得るための熱力学的パラメータの算出を行った。また、分子認識のアンテナとなり得るアミノ酸側鎖を有する非天然型核酸の合成を行った。二年目となる平成17年度には、熱安定な低分子量核酸コンポーネントとして、塩基性に富む低分子量ペプチドを特異的に認識するヘアピンループRNAをインビトロ選択によって得た。プラスチャージを有する塩基性蛋白質とマイナスにチャージした核酸との相互作用系は天然にも多く見られるが、電荷間相互作用は相互作用エネルギーが大きい一方で、本質的に非特異的である。このため、特に相互作用点の少ない低分子モデル系では、特異性と高親和性の両立は困難である。本研究では、全結合エネルギーに占める静電的相互作用の寄与を減少させたモデル系を得ることかできる新規なインビトロ選択法を開発し、電荷間相互作用を利用しつつ、特異性の高いモデル系を作成することに成功した。λファージのN蛋白質モデルペプチドを標的として得られた新規なヘアピンループRNAは、自然界でN蛋白質と結合するboxB RNAよりも高い特異性でN蛋白質モデルペプチドと結合することを熱力学的、速度論的解析によって明らかにした。
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Research Products
(3 results)