2004 Fiscal Year Annual Research Report
メタン資化細菌由来銅結合性化合物の銅クラスター構造の解析
Project/Area Number |
16750151
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
竹口 昌之 沼津工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (30321441)
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Keywords | メタン資化細菌 / 銅結合性ペプチド / 銅 / 酸素 / メタン |
Research Abstract |
メタン資化細菌は、メタンを唯一の炭素源として生育する微生物である。その中に1つに1つにMethylosinus trichosporium OB3bがある。このM.trichosporium OB3bは、その増殖過程において銅と結合する化合物を培養液中に生成する。この化合物は菌体の増殖と関係があることから、その生体内での作用に興味がもたれている。また、銅と結合することから生物由来のキレート剤としても期待されている。しかし、その化合物の生体内での働き、及び構造は明らかにされていない。本研究では、銅結合性ペプチドの生理的役割を明らかにするために、銅結合性ペプチドが生成する培地条件を検討した。 M.trichosporium OB3bの培養上清から得られた精製銅結合性ペプチドの吸光スペクトルを測定した結果、銅結合性ペプチドは300〜400nmに吸収を有していることから黄色を呈することがわかった。そこで、培養上清中の銅結合性ペプチド性を300〜400nmの吸光度を測定することにより検討した。これまで銅結合性ペプチドの生成に関して培地中の銅濃度に依存することが明らかにされている。本研究においても銅結合性ペプチドの生成量と培地中銅濃度の影響を検討した結果、培地中銅濃度が低い場合にのみ銅結合性ペプチドが生成することがわかった。現在までに、メタン資化細菌はメダンの代謝に銅イオンを必要としているため、銅運搬体としての銅結合性ペプチドの役割が考えられる。 しかし、M.trichosporium OB3bを培養すると、銅濃度が低い条件でも銅結合性ペプチドが生成しないことが何度かあった。そこで、銅濃度以外に銅結合性ペプチドの生成に関与している因子があると考え、炭素源の影響及び、気相中の酸素濃度に注目した。炭素源による影響を検討した結果、メタノール培養でも培養液が黄色を呈することがわかった。これより、メタン代謝に関与しない場合でも銅結合性ペプチドは生成することがわかった。次に、気相中酸素濃度を変化させて培養を行った結果、気相中の酸素濃度により、培養上清中の300〜400nmの吸光度が変化することがわかった。これは気相中の酸素濃度が低い場合に、300〜400nmの吸光度が増加し、銅結合性ペプチドが生成していることを示している。この結果から、酸素が銅結合性ペプチドの生成に影響を与えていることがわかった。以上の結果より、銅結合性ペプチドは銅濃度にのみ影響を受けるのではなく、酸素濃度によっても大きく影響を受けるということがわかった。
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