2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16750154
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
青木 良夫 埼玉大学, 工学部, 助教授 (00251140)
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Keywords | 液晶 / キラル / ネマチック / らせん / 光学活性 / トリフルオロメチル |
Research Abstract |
光学活性化合物がネマチック液晶にらせん構造を誘起する能力とその分子構造の関係を調べるために検討を行った。光学活性な原料としてナプロキセン、4,4,4-トリフルオロ-3-(4-メトキシフェニル)ブタン酸を用いて、これら化合物をベンゼンおよびナフタレン誘導体に1つもしくは2つ置換した化合物を合成してそのらせん誘起力を測定した。その結果、どちらの光学活性体についてもベンゼン環に対して1・2位、1・3位、1・4位に置換した場合、それぞれにおいてらせん誘起力の大きさは顕著に変化し、1・4位に置換した場合に最も大きならせん誘起力を発現することが分かった。一方、4,4,4-トリフルオロ-3-(4-メトキシフェニル)ブタン酸をナフタレン環に置換した化合物では、2・3位に置換した化合物が最も大きならせん誘起力を発現した。このことは、必ずしもパラ位の関係に置換した化合物が最も大きならせん誘起力を発現するわけではないことを示している。 また、光学活性な1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物を出発原料として各種ジエステル体を合成してそのらせん誘起力を測定した。また、この無水物とベンゼン誘導体のフリーデル-クラフツ反応によりケトン化合物を合成し、さらにエステル化することによりケトンエステル体の合成も行った。その結果、シクロヘキサン環に対する2つの置換基の構造に対してらせん誘起力は顕著に変化することが分かった。特に、置換基の末端鎖によりらせん誘起力は大きく変化した。これまでの研究では、らせん誘起材料の末端鎖の影響は主にホストとなる液晶への溶解性が主なものと考えられてきたが、今回の結果は、分子の構造によってはらせん誘起力に対しても大きな寄与をしていることを示唆していると考えられる。
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